ダメマシンクリニック28【ビル地下の駐車場発券機:エクスキューズ過敏症および表示転移の疑い】2016年05月13日 15:30

みなさま
こんにちは!

昨日の横濱は太陽が出ている間はずっと素晴らしいお天気でした。
今日も春らしい柔らかい水色の空か広がっております。こう天気がいいと週末またどこかへ出かけたくなってしまいますね。港まで散歩してみましょうか。

さて、ダメマシンクリニック、次の症例はこちらです。みなとみらい地区の地下駐車場の発券機です。

ダメマシンクリニック28【ビル地下の駐車場発券機】

28 ビル地下の駐車場発券機 01
沢山の注意書きが、赤を用いて強く表示されていますね。

28 ビル地下の駐車場発券機 02
詳しく見て見ましょう。
1:表示(係員呼出)
2:表示(価格)
3:注意書き(ポイントカードについての情報)
4:注意書き(禁煙)
5:注意書き(充電についての情報)

なんと、この発券機、三度目の登場(一度目二度目)なのです。
しかし今回は主操作(発券)に直接かかわる情報はありません。つまり、ダメ出しはされていないにもかかわらず、このにぎやかさ。
どういうことでしょう、、ここからは推察です。

掲示された注意書きから、場内を利用するに当たり、守って欲しいルール(禁煙)と対応できないサービス(ポイントカード・充電)があることがわかります。そして、その書き方の強さから、クレームが少なくないのかもしれません。
そのような日々が重なることで「駐車場に入る前によく確認して欲しい」と管理者が思うようになっても無理はありません。
そして、水際でもありすべての利用者が必ず足(車)をとめ、そこにある情報を読み取ろうとする場所の「発券機」に表示することを思いつくのですね。

しかし、結果的に利用者に大量の情報を掲示することが、どの程度の改善につながったのかは疑問です。この場所はできるだけスムーズに流れるほうがよい場所ですから、視覚情報は少なくして誤操作をなくすことの方が大切なのです。

また、注意書き読んで引き返したくなっても無理な場所でもあります。もしかしたら、その無理を通させるクレーマーのためにインターフォンを設置したのかも、、などという想像も働きます。

価格情報もクレーム(もしくは問い合わせ)の多い情報なのでしょう、これだけ沢山の表示があるのですから、追加するのは自然な流れでしょう。


【診断】

事前に告知しておきたい情報への過剰な意識による「エクスキューズ過敏症」と診断します。またこれらの情報が別の場所で掲示されている可能性を考慮して「表示転移の疑い」を併記します。
この症状には、「しばらく利用者がとどまる空間」「表示しやすい場所」があれば、何かしらの表示をしてしまう、という特徴的な傾向があります。


【処方】

では、処方です。
必要な情報を整理します。

処方01:応急処置
応急処置(表示整理)では、発券機と掲示板機能をわけて考え、以下の様にするのがよいでしょう。
・価格を大きく表示する。
・「係員呼出」を追記する。
・インターフォンは撤去する。
・他の注意書きは適宜移設する。

28 ビル地下の駐車場発券機 03

28 ビル地下の駐車場発券機 04
できるだけスムーズに「発券して場内に入る」ことが大切です。そのために「しっかり読んで欲しい情報」は削除します。これによりここで迷うことは激減し、発券がうまくいくかどうかだけが課題となり、インターフォン設置の必要性が激減します。
もし発券トラブルが起きた際は左下のボタンで係員を呼出してもらうことで対処します。

価格も削除してよい情報ではありますが、この場所のニーズなのでしたら残しても差し支えないと判断しました。

削除した注意書きは、正式な掲示板の計画と設置が必要でしょう。
おそらく、ではありますが、駐車場の運営者に届くユーザーのクレームが、設備の管理者に届いていない、もしくは反映されていないことが、この過剰気味な注意書きを作らせる背景なのかもしれません。



ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!

No.28
対象:ビル地下の駐車場発券機
設置場所:みなとみらい
報告者:有限会社ディーエムシー
報告日:2016.5.13
症例:エクスキューズ過敏症および表示転移の疑い
ダメ度:ー(マシンの問題はない)
応急処置:表示修正
治療方針:このマシンを含めたシステム全体の精密検査による治療計画が必用



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