環境への期待値:家の性能 ― 2024年03月06日 18:25
デザインで飛躍を企むみなさまこんにちは^^
モノを群相としてみてみると、モノが環境への期待値に寄与する、という視点に気付いたというお話しをしました。この話の「環境」は主に生活の拠点のことですので、つまり「家」ですね。
家の性能
建築家の知人によると、日本の民家は蒸し暑い夏をいかに楽に過ごすかを考え抜いた造りをしているそうです。日を遮る長いひさし、湿気を逃がす縁の下、風通し良く面積を調整できる部屋、煙が上に抜けて行く屋根裏、、夏の炎天下での生産性が生活に直結していた時代に出来上がった様式なのだ、と。なるほどと思います。
それでは冬はどうでしょう。それぞれの地域に根ざした冬装備がありますが、熱源の周囲で暮らす様式がその土地の風土に合わせて発達しました。囲炉裏やこたつ、ストーブのまわりに集まって手仕事をする姿は、リアルではしらない世代でも容易に想像出来るでしょう。冬は寒いと言われる日本家屋でも、火が家の中にある暮らしの心地良さがありました。
ただ、家の中から火が排除される過程でも、日本の家の性能(断熱性や遮音性など)は旧来のままでした。
エネルギー政策的に規制を強化して行く流れもありますす。(2025年4月より省エネ基準適合の義務化PDF)
規制強化の流れは、省エネと資産価値の文脈だけでなく、断熱性能が上がった家での暮らしがどう変わるのかにも触れられていますね。
その視点、暮らしがどうなるかというところを「環境への期待値」としてイメージしてみましょう。
性能アップがライフスタイルを変える
断熱性能の上がった家では、、
・家の中の多くがここちよい場所となるため、くつろいだり何かをつくったり楽しんだりする場所の可能性が広がる
・温度変化を気にせず室内を移動出来るので服装の自由度が広がる
・疲れたり体調が悪くなった時も家のどこでも過ごせるのでストレスが少ない
・居場所が固定されにくいのでコミュニケーションのかたちが広がる
ちょっと考えただけでもライフスタイルを変えて行く事が想像出来ます。
おまけ:義務化のその後
さらに、断熱性能と有病率の相関を示す論文がありました。PDF 断熱性能が高い家に引っ越すとがくっと病気になりにくくなるんです。凄い。エネルギーと安全保障だけじゃなくて医療費とか労働力とか、かなりの底上げになるんじゃないでしょうか。
実は既に、断熱性能の新基準が策定されております。義務化される「基準値」を数値的にクリアされる技術も沢山出てきています。
市場性を考えますと、費用対効果の高い技術から普及して行くと思います。それは自然な流れなのですが、「初期値が高いだけ」「快適性に欠ける」「修繕不可」「環境負荷の懸念」なものもちらほら。これは、思ったほど恩恵を感じなかったり、数年で性能が落ちたり、未知の公害の起因になったり、、と良からぬ傾向も。
在来の素材、技術の中から、住む人のためになるものを選べる目利きの存在が大切になってくるでしょう。
モノを群相で捉えた時に見えてくる「環境への期待値」と言う視点は、環境そのものの本質に迫れるという話でした。
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