コンピュテーショナルフォトの時代の印刷物 ― 2024年06月19日 18:53
印刷の未来を思い描いてらっしゃる皆さまこんにちは^^
先日、ある印刷会社の社長さまとやり取りする事がありまして、「印刷会社に不満があれば教えてください」となりました。
私、実家が印刷工場でしたから、不満というよりも「印刷物の課題」としてつらつらと考えていたことをコメントさせて頂きました。以下その抜粋です。
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【印刷屋さんの仕事】
昔は、手書きの原稿から版を起こして印刷物にするのが仕事でした。
今は、データにしたものを印刷物にしてくださいます。
昔は、手書きの原稿から版を起こして印刷物にするのが仕事でした。
今は、データにしたものを印刷物にしてくださいます。
【印刷物への期待値】
手書き原稿の時代の成果物は「原稿とは似て非なる、かつ原稿より素晴らしいもの」でありました。
データ時代の成果物は「イメージ通りが理想で、元データに忠実なもの」であります。
したがって、印刷屋さんにはコストと忠実さを求めます。しばしばコストの制約により忠実さを犠牲にします。
手書き原稿の時代の成果物は「原稿とは似て非なる、かつ原稿より素晴らしいもの」でありました。
データ時代の成果物は「イメージ通りが理想で、元データに忠実なもの」であります。
したがって、印刷屋さんにはコストと忠実さを求めます。しばしばコストの制約により忠実さを犠牲にします。
【「忠実」とは?】
データへの忠実度とは、コスト優先の工場では文字通り「データのまんま」のことです。そして出力マシンの性能の範囲内でそれが守られます。
品質向上への努力を惜しまない工場では、「デザイナーの意図」のこととして捉えてくださっています。その意図を汲んで出力マシンを調整する技量を発揮されます。
データへの忠実度とは、コスト優先の工場では文字通り「データのまんま」のことです。そして出力マシンの性能の範囲内でそれが守られます。
品質向上への努力を惜しまない工場では、「デザイナーの意図」のこととして捉えてくださっています。その意図を汲んで出力マシンを調整する技量を発揮されます。
【「デザイナーの意図」とは?】
さて、デザイナーの意図とはどこまでクリアなのか、という問題提起をしたいと思います。デザイナーは脳内にビジョンを描き、それをビジュアライズします。そしてそれを実物(模型など)として出現させ、それを検証してフィードバックします。これをプロトタイピングと呼んだりしますが、それはグラフィックもプロダクトでもサービスでも、同じ工程を踏むのが基本です。
この過程において「デザイナーの意図」というものは、"本当は"それほど絶対的なものではありません。プロトタイプとして出てきたものがいいか悪いか、です。
さて、デザイナーの意図とはどこまでクリアなのか、という問題提起をしたいと思います。デザイナーは脳内にビジョンを描き、それをビジュアライズします。そしてそれを実物(模型など)として出現させ、それを検証してフィードバックします。これをプロトタイピングと呼んだりしますが、それはグラフィックもプロダクトでもサービスでも、同じ工程を踏むのが基本です。
この過程において「デザイナーの意図」というものは、"本当は"それほど絶対的なものではありません。プロトタイプとして出てきたものがいいか悪いか、です。
【プリクラとコンピュテーショナルフォト】
ここで、世の中の「イメージしたものと実際にできたものの比較」の身近な体験として「スマホの写真」を見てみます。スマホの写真は、すでにAIで描画された「コンピュテーショナルフォト」になっています。その写真では、撮像素子のデータは元データとして参照されますが、出力されるデータはかなりの割合で作成されています。この技術はプリクラからありました。そしてそれは巧妙化とともに支持され続けてきました。スマホの写真は「現実を理想化する技術」の集大成ともいえます。
そして、プリクラやアプリでは「加工」は明示されますし、そのように認識しますが、スマホカメラの写真は「未加工」という扱いになっています。この点が、今の世の中の「イメージしたものと実際にできたものの比較」のデファクトスタンダードになっていると思われます。「現実を理想化したもの」を自然(きれいに撮れてる)と感じる、という認知です。
ここで、世の中の「イメージしたものと実際にできたものの比較」の身近な体験として「スマホの写真」を見てみます。スマホの写真は、すでにAIで描画された「コンピュテーショナルフォト」になっています。その写真では、撮像素子のデータは元データとして参照されますが、出力されるデータはかなりの割合で作成されています。この技術はプリクラからありました。そしてそれは巧妙化とともに支持され続けてきました。スマホの写真は「現実を理想化する技術」の集大成ともいえます。
そして、プリクラやアプリでは「加工」は明示されますし、そのように認識しますが、スマホカメラの写真は「未加工」という扱いになっています。この点が、今の世の中の「イメージしたものと実際にできたものの比較」のデファクトスタンダードになっていると思われます。「現実を理想化したもの」を自然(きれいに撮れてる)と感じる、という認知です。
【印刷物】
印刷物を仮に「イメージたものを現実化したもの」と言い換えますと、「イメージしたもの」は曖昧であり、さらに「現実化したもの」は理想形に加工されたものになります。
これは、曖昧な原稿から素晴らしいものを作る、という昔のスタイルに似ています。(はるかに高度なレベルのことですが)
ここで、印刷屋さんにお願いする立場からすると、、
・プロトタイプで検証するサイクルを、低コストで高速に回せると嬉しい
・作った原稿をもっと素晴らしく仕上げてくれると嬉しい
のふたつが、まずは想起されました。どちらもすでに業務としてなさっている範囲かと思いますが、依頼から仕上がりまでのユーザー体験が、すっきりと整理された形で提供されるといいなと思います。
印刷物を仮に「イメージたものを現実化したもの」と言い換えますと、「イメージしたもの」は曖昧であり、さらに「現実化したもの」は理想形に加工されたものになります。
これは、曖昧な原稿から素晴らしいものを作る、という昔のスタイルに似ています。(はるかに高度なレベルのことですが)
ここで、印刷屋さんにお願いする立場からすると、、
・プロトタイプで検証するサイクルを、低コストで高速に回せると嬉しい
・作った原稿をもっと素晴らしく仕上げてくれると嬉しい
のふたつが、まずは想起されました。どちらもすでに業務としてなさっている範囲かと思いますが、依頼から仕上がりまでのユーザー体験が、すっきりと整理された形で提供されるといいなと思います。
このあと、具体的なサービスのイメージなども意見交換して刺激的な一時となりました。詳しいご案内が出来る日が来たらまたあらためて。
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