意味の世界に生きる2024年01月26日 10:54

デザインで飛躍を企むみなさまこんにちは^^

事実の世界と真実の世界
ハンス・ロスリング他の「ファクトフルネス」が2019年から2020年にかけて世界的な大ヒットになりました。大規模な信頼度の高いデータから既成概念を覆すさまは痛快であり、また私たちに事実を元に世界を見る態度の重要さを説いていて興味深く読みました。
しかしその後、そのファクトフルネスのインパクトが世界を変えた、という話は聞こえてきません。むしろ、私たちは科学的統計的な事実・エビデンスよりも、自分たちが信奉している信念や価値観や規範に沿う言動が目立っています。自身の心情にあう事実のみを重視し、それ以外を軽視したり、まだ解明されていない科学的事実があると信じて、自分たちの価値観や心情に沿った世界を強固にする。そういう傾向が私たちにはあるという書物も沢山出版されました。
事実がつみ上がった物理的な世界を、自身の「真実」で再構築した意味世界として受け取っているのですね。

意味の世界
これは、デザインの現場感覚と相性が良いです。常々人は物理世界を生きているだけでなく、意味世界を生きているのだ、ということはデザイナーとしてはとても自然な感覚なのではないでしょうか。
意味の世界が違えば、同じ物理空間にいても全然別の世界になります。砕けた表現で言うと「世界線が違う」でしょうか。
この「意味の世界を生きる」という視点はとても重要だと思います。今開発なさっている製品・サービスがどのような意味世界にあって、どのような価値が発揮できるのかをしっかりと見定めてまいりましょう。
dmc.
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