アナログの周辺情報2011年02月07日 23:59

レコードからCDに移行する時、オーディオファンの間で議論された「デジタルvsアナログ」は、銀塩からデジタルに移行する際も少なからず議論されましたが、CDの時ほどデジタルが拒絶されてはいなかったですね。
一つにはレコードからCDへの移行を既に体験していた事と、もう一つには、「目に見える」ということが容易に他者と共有出来るものだからでしょう。

「オーディオ」も「写真」も、「品質にこだわる特別なもの」から「身近な楽しみ」に変えたのはデジタルでしょう。機会が増えると言う意味でも、コミュニケーションとの相乗効果で生活の中に溶け込む力が発揮されたと思います。

一方で、旧来の技術に特別な魅力を感じている人たちも沢山いらっしゃいます。レコードプレイヤーは世界中で新製品が発表されていますし、銀塩カメラも健在です。
それぞれに深く広い世界がありますので一言では括れませんが、決してノスタルジーだけではない何かを感じていらっしゃるのは間違いありません。

その「何か」とはなんでしょう。
いわゆる「味」なのでしょうけれど、私は、もしかしたらそれは「周辺情報」かもしれない、と思っています。

周辺情報とは、例えば運転中に聞こえているエンジン音のようなものです。運転そのものには直接関係のない音ですが、人の好嫌を決定する大切な要素であり、ユーザーはそのちょっとした変化に敏感になります。エンジン音に異常があれば行動が変化しますよね。
エンジン音にユーザーが日常的に「気に入っている」ことを意識したり、無意識の中で心地よさを覚えるのはまさに「味」と言えますね。

ただ、オーディオや写真の場合自動車と異なるのは、機械そのものだけでなく、その機械を通じて表現されるものがある、ということです。
オーディオ機器の周辺情報は、機器が動作している時の気配(光やスイッチのレスポンス)ですね。
そしてもう一つ「再生された音に含まれる再生機器の気配」もあります。
「実際に聴き分けることが出来るかどうかは別」として、ここに愛着の秘密があります。

なんだ、当たり前じゃないか、、というお話ですが、これはとても大切な示唆を含んでいるに違いありません。

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