新年あけましておめでとうございます!2011年01月05日 21:33

旧年中は沢山のご懇情を賜り、心より御礼申し上げます。
本年も倍旧のご愛顧賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

昨年は「そうあって欲しい未来」を語り「幸せなプロダクト」をデザインすると年頭に誓い、少しづつではありますがその方向に一歩進むことができました。今年はその歩みをやや速めて、前へ前へ行く一年にして参ります。

具体的には「プロトタイプ」のアウトプットを倍増させます。また商品化と、使って下さる方とのリレーションによるバージョンアップの期間を短縮させます。
これは、安易な商品の量産のためではなく、一つのモノを完成させるプロセスを、使って下さる方と共有するための挑戦と位置づけています。

本年も皆さまにとりまして、素晴らしい一年となりますようお祈り申し上げます!

Personal Brand パーソナルブランド2011年01月06日 21:35

生産技術のIT化が進んでいます。試作に留まらずコンピューターと出力マシンだけで最終商品のアウトプットができるようになり、レーザーシンタリングマシン等の3D出力機による少量生産の商品が発売されています。
近い将来、安価で携帯電話のカスタマイズをその場でデザイン製造してくれるようなサービスビューローがネイルショップのように街角に見られるようになるでしょう。
また、ホームセンターはオリジナル家具製造販売サービスセンターになっていくでしょう。
(その様なサービスビューローは既にあるそうですね)

コストとのバランスにより状況は変わるでしょうけれど、自分自身の好きなデザインで身の回りのもの=プロダクトを作る人が沢山出てくると予想されています。私自身もその傾向は感じる所です。
もちろん、ほとんどの人は自分の好みで全てを作りたいとは思はないはずですから、95%既成のもので残りの5%を楽しむ(オプション)から、100%既成のものでプラスアルファ1%以上を楽しむ(カスタマイズ)までの、「100%前後」が最も賑わう所でしょう。
この、既製品と特注品の関係は心理的な要因が大きいと思いますので、これまでの消費を観察する事で得られるヒントは多いでしょうね。

さて、その一方で「こんなものが欲しい!」を強く持っている人たちに応えることが、比較的安価でできる状況はこれまでとは大きく異なるところかもしれません。
既製品を改造するのではなく、特注品でもなく、新たにデザインされたものは、メジャーではなくとも同じ価値観を持つ人には強く訴求するでしょう。

クリス・アンダーソンが唱えて広がった「ロングテール」は、リアルな店舗なら死に筋として棚から下ろされてしまう商品もネットなら売り続ける事ができ、欲しい人たちに正しく伝えられたら(ここが大切ですね)そこに市場が出来る、というコンセプトです。
特定の価値観の人たちの「欲しい!」を強く刺激するモノは、まさにこのコンセプトにフィットするでしょう。

ここで大切なのは「欲しい!」を強く言える個性。ここの強烈さがこれからのブランド、すなわち「パーソナルブランド」が一つの方向性になるでしょう。

デザイナーは自らの個性をブランドにする事もひとつの方法でしょう。またそのようなスタンスのデザイナーは既にいらっしゃると思います。

しかし私がしたいことは、だれかの個性を発揮させる事です。個性を探し、プロダクトを作り、パーソナルブランドを作り上げる事に挑戦しようと思います。

レガシーなものを最先端の技術で2011年01月07日 23:59

先日、Twitter経由で郷好文(@yoshifumi_go)さんがブログで紹介されていた「ストリングバイク」を拝見しました。
「ストリングバイク」とは、チェーンの代わりに糸(=ストリング)を動力伝達に用いる自転車です。この新しい駆動方はペダルの位置により力が入りにくい引上げる時もスムーズに動かせ、またギアチェンジ(に相当する仕組み)は止っていても可能との事。
(詳しくは郷さんのブログと公式サイトをぜひご覧下さい。)
 http://cotoba.jp/2010/12/28/stringbike/
 http://www.stringbike.com/

上記の仕組みが本当にチェーンに取って代るものなのかは実際に乗って見なければ判りませんが、拝見した瞬間に「こういう開発がしたい!」と心が揺さぶられました。
こういう開発とは、自転車のように充分に練られてきたプロダクトの基本システムに関わる宿命的な部分に、より革新的な改良を加える事です。

今「最先端」というとスマートフォンやクラウドサービス、またEVといった情報技術と代替エネルギーを中心とした知的なプロダクトが思い浮かびます。これらは今後ますます「知的」になっていくでしょう。
この知的なプロダクトとは自動化と最適化とコミュニケーションツール化等々、おおよそはこの方向でしょう。

しかし、その方向以外にも進むべき道はあるはずですよね。

例えば、ネットに繋がるエアコンも便利そうな一方で、誰でも薪がうまく燃やせる仕組みが施された最先端の暖炉もワクワクする、、と私は思います。

身の回りを見渡せば、「これはこういうものだ」と思われるものが沢山あるはずです。それらをあっと驚く進化形にして再提示したい。。
役不足は重々承知の上ではありますが、デザイナーの立場でできることをチャレンジして行きたいと思っています。

新春の香り2011年01月11日 23:59

今日は一日外出していたのですが、あちこちに新春らしい清楚な香りがしていました。

八重の白梅
八重咲きの白梅。控え目ながらすっと入って来る香りに引き留められました。

臘梅
臘梅(ろうばい)のこの香りが大好きです。

今日はまた寒い日でしたね。この寒さが春の開花にとって必要だそうです。
晴れやかな新春の一日でした。

キャンドルカフェが切手になりました!2011年01月12日 16:10

昨年こちらでお伝えした冬のイベント「キャンドルカフェ」が切手になりました。

切手 キャンドルカフェ

切手 キャンドルカフェ
ちょっと判りにくいんですが、「80」と書かれた枠の部分が切手になっているので、写真の部分は切手として使う事も、記念に残しておく事も出来ます。

切手 キャンドルカフェ
手がけた作品が切手になるなんて素敵ですね!

道をデザインするように2011年01月13日 23:59

私は地元で町づくりのお手伝いをしているのですが、その中で重要な課題として道路があります。私の住む地域は密集地区で、狭い道や階段、行き止りが多く、ために自動車が入れないことが防災上のネックとなっているのです。
もっとも、それがこの地域の魅力であり、自動車の来ない路地で安心して子供を遊ばせられる、という理由で引っ越してこられる方もいらっしゃいます。

「道をデザインする」といいますと、道の表情となる舗装や配水等の機能から帰結する断面形状、道路に付帯する街頭やサインなどの道路を構成する要素、また都市計画としての交通計画と建築物の配置、法規などの決めごとまで、様々な断面と規模に渡ります。さらに、そこには様々な人々が関わっていますね。それら全てを内包して「道」があります。

以前に塩野七海さんの本を読んで「道というものは古代ローマ人の発明なのだ」と深く印象に残りましたが、「道」は一国の過去と現在の姿が凝縮された風景だといえるのかもしれません。

さて、、一つのプロダクトにも様々な断面が潜んでいます。その全てに心を砕き、具体的なアプローチが成功して始めて、人々の思いを凝縮する風景となるのでしょう。

チューニング2011年01月14日 23:59

今週、大学時代の友人が久しぶりに集まりました。進路が違うのでそれぞれの経験を聴くのはとても興味深かったです。(もっとも、秘密保持もあり具体的なことは話せないですし、学生時代の馬鹿な話がほとんどでしたけれど)

その中で、自動車のチューニングが話題になりました。欧州と米国ではサスペンションのセッティングが異なることは有名ですが、同様にパワーステアリングも大分違うそうです。欧州は重くしっかりとした手応えがあるもの、米国は手のひらで軽く回せるものが好まれるそうです。日本メーカーはどちらを向いているかで大分差があるとのこと。
確かに、私のわずかな経験でも、ドイツ車、イタリア車、日本車で明確に違いがありましたね。

また、感性価値の代名詞のように知られている「ドアを閉める音」にも好みの差があるようです。

これらは市場の価値観の差が大きく関わっている事は明白でしょう。そして自動車メーカーもそれに応えようとすることで、技術力の差が際立ってきたのだと思います。

一方、UIのデザインにおいてもこの「チューニング」が大切な事は以前から判っていました。
最近では、iPhoneのタッチUIと他のタッチデバイスとを使い比べて見て「操作感」の差を感じた方はとても多い事でしょう。
これはiOSのチューニングが優れているからなのですよね。

デジタル化モジュール化されたデバイスは、競争力を失い価格競争に陥いりやすく、実際その様な状況になってしまった市場は幾つもありますよね。
同じハード同じプラットフォームで違いを感じさせられるのは、操作感や、基本機能の仕上がり等の、ユーザー体験のベースとなる部分です。この部分のチューニングが素晴らしいものが評価されるのです。
UIをチューニングする現場にデザイナーはもっと入り込んで行かなければですね。

新春のミチクサ2011年01月17日 23:59

ミチクサ(土)に紅梅
お茶の師匠のお宅で飾って頂いたミチクサです。
ミチクサの透明なブラウンが、新春らしい赤との組み合せで渋い金のように利いていますね。素敵な色の取り合わせです。
流石師匠!

ミチクサは全部で3色あるのですが、2つ目にこの色を選ばれる方が多いようです。
この色はそれだけでは地味なため、写真のように鮮やかな色との組合せで華々しくしたり、銀やグレイッシュな色との組合せでクールにしたりと、いける人の創意がはっきりとでる色です。
もしこの色を選んで下さる時に、活けたい花のイメージが広がっているのだとしたら、それはとても嬉しいことですね。

金メダリスト2011年01月18日 19:21

米田功さん アテネオリンピック金メダリスト
先週末、娘の通う小学校で親子体操教室が行われ、アテネオリンピック金メダリストの米田功さんがいらっしゃいました。

米田さんはアテネ五輪の男子団体で、28年ぶりに金メダルを獲得した時のキャプテンです。あの時の熱狂は今でも新鮮に蘇ってきます。
2008年に引退され、今は子供たちに体操の楽しさを伝える活動をされているそうです。
体操選手って小さくて筋肉隆々のイメージだったのですが、米田さんはスラッとした長身なんですね。しかも雰囲気が優しく威圧感がないので子供たちに自然と溶け込んでいます。

でも実際にお話し伺ったら、やっぱり凄いお方でした。
子供たちの質問に平易で誠意ある答えを返そうとする態度、話し方、立ち居振る舞いのフラットさ。
出来ない事を楽しみ、気が遠くなるような努力を積み重ねて頂点へ向かう強靭さ、それを微塵も感じさせない柔らかさ。

7歳の時に小児喘息が切掛で体操を始め、金メダルを獲ったのは26歳だったそうです。
「毎日の楽しい遊びの遥か向こうに金メダルがある」は至言ですね。

公式サイト
http://www.yonedaisao.com/

欲しいものを作る2011年01月19日 23:59

ここのところ「欲しい!を強く言える人」の大切さを感じています。
今日はメーカーの中に実在するリアルな開発者の「自分が欲しい!」がいかに大切であるかを感じました。

長く同じメーカーや市場の中にいますと、企業内の立場や他者への気遣いから「こうあるべき」を、自分の本音とは別の所に構築してしまうこともあるようです。
よく「本当はこうしたい」という言葉を耳にしますが、その「本当のところ」が実はとても大切なのです。

なぜ大切なのかと言いますと、その「本当」が本当なのかどうか試していないことが多いからです。この点を踏まえて、「自分が欲しい」を試し、評価していくことで一歩前に出らるんですね。

ここで大切なのは、その実在の誰かの思いが、ブランドの目指すべき方向と合致しているかどうかなのですが、自身で試す事ではっまりと自覚出来るのです。
その結果、その場所に留まらないという結論もあるかも知れませんが、その可能性があるからこそ重みがあるのでしょう。

過去記事:Personal Brand パーソナルブランド
http://dmc.asablo.jp/blog/2011/01/06/
dmc.
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