「本当に未曾有だったのか」2011年05月25日 23:59

防災 東日本大震災に学ぶ
先週末、町内で防災の勉強会を行いました。
講師は我聞塾主催の佐藤榮一さん、消防とレスキュー隊を歴任、防災啓蒙活動をされておられる方です。

まず問題提起されたのは「本当に未曾有だったのか」ということです。石碑に刻んだ「ここより下に住むべからず」など、三陸地域には過去の地震の記録や伝承された記憶がありました。今私たちが住むそれぞれの場所それぞれの歴史を軽視せずみなおす時だ、ということでした。

うむ。歴史を見よ、というのは王道であり、かつ真摯な姿勢ですね。「想定外」という概念に経営的な響きを感じていた私は、ものごとを経済のフェーズに自動的に落とし込む前の姿勢を問われているように思いました。今私たちの抱えている構造的な縮小局面に対しても、歴史を真摯な心で見なければならないのかもしれません。

もうひとつ、行政依存と被災者意識の危険性についても。
老人介護施設に避難した健常者が被災者だと言う理由で施設に要求だけをして老人介護を手伝わないで大変な負担になっている、危険な自宅を離れず避難所指定を強要する、、など行政の効率的な活動の妨げとなっている実例を伺いました。
何かあった時、まず死なないと言うこと。それから助ける。守る。これは全部自分たちの仕事なんだということ。行政は復興こそ支援するのだと。
この勉強会は「災害が起こる」という前提です。ですから、被災した時に「被災者になるな」、というのは卓見だと思いました。

その他、街の防災機能、減災、災害弱者などなど、キーワードが沢山。どれも丁寧な追いかけが必要ですが、まずは「自分の地域の歴史を見る」「被災者になるな」のふたつをポイントとしてご報告しておきます。
dmc.
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