付加する価値2012年03月12日 23:59

デザインは「付加価値」という表現で、その意義を説かれることがあります。同じ価格同じ仕様の製品でも、デザインをすることで売上が上がったり顧客単価があがる事は多々あります。
この上乗せした金額が「付加された」という意味ですね。

もちろん、デザインに投資する分がありますから、同じ製品と言うのは便宜的な位置づけです。コストと利益の関係が違ってきます。
またデザインの範囲によっては全然違う「商品」になるので、価値を付加するというより、再創造という方が正しいのかもしれません。

ロンドンのビジネススクールに行ったと言う方から「デザイン投資1%増につき利益1%増」と教えていると聞きましたが、数字の真偽は別としましてもデザイン投資が商品にとっては欠かせないと言う認識の現れでしょう。
その見方からも、デザインは商品(ブランド)の骨格を造っていて、後から価値を付加する行為ではないといえそうです。

では何が付加されるのか。
それはその商品が、製品自体だけでなく、製造販売サービスも含めて隅々まで考えられた、理性においても感情においても納得出来る「素晴らしい商品である事」の保証です。

デザインは約束という価値を付加している、と言い直せそうですが、誰もが(限られた条件の中であっても)素晴らしいものを求めています。そこへ最善が尽くされ、実際にその域に達しているものは感動を持って迎えられます。それが出来ているかどうかがデザインに現れてしまうのですね。デザイナーとしてこの事実には真摯に向かい続けなければなりません。
dmc.
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