ダメマシンクリニック48【引き戸のロック:表示失調および共有認知失調】 ― 2016年10月07日 23:59
みなさまこんばんは!
非常に個人的なことなのですけれど、私プロ野球の横浜ファンでございまして、明日のクライマックスシリーズ初戦が楽しみすぎて全く寝られません。この様な事態は遠足でもなったことないのに(笑
さて、今週の今週のダメマシンクリニックはこちら、神奈川県内のサービスエリアで入った多目的トイレのロックです。
ダメマシンクリニック48【引き戸のロック】
多目的トイレは車いすでも使いやすいように引き戸が多いですね。座位でも手が届くよう取っ手は二つあり、ロックはその間に設置されています。
ロックに大きめの表示がありますが、後付けのようです。
正面から見てみますと「開閉」の表示が丁寧に書かれていました。
まず、ドアロックに表示が必要な場合を考えますと、閉まっているかどうか確認したい状況とは、、
1)入った後、ドアを閉める時
2)使用中、閉まっているか気になった時
3)出る前、ドアを開ける時
の3つが考えられます。
1、3は手で確認できますが、便座に座った状態では手が届かない多目的トイレでの2は、目視でしか確認できないですね。
座ったまま「あ、ちゃんと閉まってる」と思えると安心です。そのための表示といえるでしょう。
ところで、この写真のような回転式のロックはたてとよこ、どちらが「鍵がかかっている」とお感じになりますか?
自信を持って「よこが閉まっている」と言い切れる方は少ないのではないでしょうか?座りながら「あれ、閉まってるのかな?」と思わせる形状がダメ出しを誘発しています。
ちなみに、ざっと検索したところではどちらが正解かわかりませんでしたが、横の時に閉まる方が多いようです。
家のトイレの鍵もよこがロックでした。
しかし、私はどちらが閉まっているかまでは記憶にありませんでした。
家のトイレのロックように、慣れているものでもしっかりとしたイメージを持っているわけではないものです。
また、こちらの引き戸のロックは大きくて、取っ手のようにも見えます。
【診断】
不特定の利用者向けとしては表示(ロック/オープン)が不足していますので「表示失調」と診断します。
また、引き戸のロックはこういうものである、という一般化したイメージがないことから「共有認知失調」と併記します。
【処方】
では処方です。
表示の不足を補います。
処方01:応急処置
応急処置(追加表示)で十分対処可能です。現在のダメ出しはやや見づらいですので、以下の様にするとよいでしょう。
・表示を「閉」一つにする。
・上方からみやすい位置に大きく表示する。
便座に座った状態で確認したいのは「閉まっている」ことですから、それが一目瞭然となるような表示が望ましいです。
ところで「共有認知失調」は、機器やマシンの使用を通じて一般化すると自然治癒します。日本においては、多目的トイレもそれを利用する回数も増えることは明確ですから、この表示も必要がなくなる日が来るでしょう。(ただし、外国の方向けに「LOCK」になっているかもしれません)
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.: 48
対象:引き戸のロック
設置場所:神奈川県のサービスエリアのトイレ
報告者:ディーエムシー
報告日:2016.10.7
症例:表示失調および共有認知失調
ダメ度:×(応急処置で対応可)
応急処置:表示修正
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上のフェイスブックページに以下の内容を投稿して下さい。投稿順に診断、処方箋をお応えいたします。現場でお困りの方は無料で何度でもお応えします。どしどしご連絡下さい!
・明瞭な写真または動画(複数歓迎)
・設置場所とマシンの目的
・困っていること・症状(出来るだけ具体的に)
・テプラなどの対処部分の写真と説明
※プロの方へ
このページの内容を参考にして設計されることは大歓迎です。引用も問題ありません。(ただし、法的な責任は負いません。また、できれば一言「参考にしました」と言って貰えると嬉しいです。)
個別にデザインを相談したい場合はご連絡下さい。最優先で対処させて頂きます。
ダメマシンクリニック49【コインロッカー:表示失調】 ― 2016年10月14日 23:59
みなさまこんばんは!
去年も夏の後に突然冬が来たような印象でしたが、今年もがくっと気温が落ちましたね。ぴりりと冷たい空気は結構好きです。一風毎に散る落ち葉、特に桜のは踏むとかすかに香り立つので町歩きが楽しくなります。
さて、今週の今週のダメマシンクリニックはこちら、横浜市営地下鉄桜木町駅、改札外のコインロッカーです。
ダメマシンクリニック49【コインロッカー】
コイン専用で、以前ご紹介した「ダメマシンクリニック07【Suica対応コインロッカー:視野狭窄および特殊事情過敏の疑い】」ほどの混乱は見られませんが、大きな追加表示がされています。
詳しく見て見ましょう。
1:注意書(使用可能時間)
電車が止まると使えないこと、預かり期限が3日であることが示されています。野毛あたりで梯子して終電逃すと荷物も出せなくなってしまう、、ちょっと辛いですね。
使用時間は電車が止まると入れないコンコース上にあることから、3日間は不審物の監視からでしょうか。いずれにしましても、マシンの仕様ではなく、運用の都合から定められたものと拝されます。これは「このロッカー特有の条件」ですから、利用者は知らないものとして考えなければ成らないでしょう。
従いまして、マシンへのダメ出しではありませんが、加療が必要と判断します。
ところで、みなさまは待ち合わせをする時、事前に細かく決めてらっしゃいますか?携帯電話の無かった頃のように「15分来なかったら先に行く」とか「1時間以上遅れる時は馴染みの店に電話する」とか、、このような約束をされてる方はぐっと少ないと思います。今は、何かあったらラインやメッセンジャーですよね。
また、テレビの視聴スタイルはどうでしょう。放送時間に間に合うように帰る、というのも楽しみではありますが、録画やタイムシフト放送、コンテンツによってはオンデマンドを利用されてる方の方が多いと思います。
これらはほんの一部ではありますが、今の各種情報へのアクセスは「随時」「即時」そして「遠隔」が普通なのですね。「いつでも気になったことが比較的簡単に判る」ことが前提の暮らしになってきている、といってよいでしょう。
その感覚から、このコインロッカーの表示に書かれた情報を見ますと、、
・利用開始時に知らなくてはならない =非随時
・この場所でのみ確認できる =非遠隔
・知りたい時に知ることが出来ない =非即時
となり、不便を感じさせる伝達方法となっています。
「スマート」「IoT」等の文脈で語られる「包括的サービス化」の中で、この様な「些細な、だけど知らないと大変不便」な情報へのアクセスも改善されるでしょう。もっとも、包括的なサービスの時代にはコインロッカー自体がなくなっているかもしれませんけれど。
いずれやってくる未来はさておきまして、コインロッカーですからね、もう少し手に届く範囲の「随時」「即時」「遠隔」を考えてみたいと思います。
【診断】
この場所特有の情報の伝達が不足していますので「表示失調」と診断します。
【処方】
では処方です。
表示の不足を補います。
処方01:表示追加
利用者がこの場所を離れた際に、コインロッカーに関する情報はキーのみです。以下の様にキーホルダーの情報を追加します。
・キーホルダーを用意し、使用可能時間と有効期限を表示する。
・日本語以外の言語も用意する。
旅館のキーホルダーのようなものになりますが、「随時」「即時」「遠隔」を最低限クリアさせることが出来ます。
少々手間がかかりますが、運用上の都合ですから、利用者の利便性を損なわないようにしたほうがよいでしょう。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.: 49
対象:コインロッカー
設置場所:横浜市営地下鉄桜木町駅改札外
報告者:ディーエムシー
報告日:2016.10.14
症例:表示失調
ダメ度:-(マシンではなく運用上の不足)
応急処置:表示追加
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・設置場所とマシンの目的
・困っていること・症状(出来るだけ具体的に)
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ダメマシンクリニック50【コンビニのコーヒーマシン:運用例の報告】 ― 2016年10月21日 23:59
みなさまこんばんは!
今日中国地方で大きな地震がありました。関西でも大きく揺れたようですが、みなさまはご無事でらっしゃいましたでしょうか?
被害に遭われた方々に一日も早く平穏な日常が戻りますよう心よりお祈り申し上げます。
さて、今週の今週のダメマシンクリニックはこちら、横浜の比較的住宅の多い地域にあるコンビニのコーヒーマシンです。コンビニのコーヒーマシンは、ダメマシンクリニック開所当時早々にご投稿頂いた有名事案(症例02『ダメマシンクリニック02【コンビニコーヒーマシン:多重コミュニケーション不全】』)に始まり、いくつか診る機会がありました。今回は有名事例と同じマシンですが、状況の変化を感じさせる運用例としてご報告したいと思います。
ダメマシンクリニック50【コンビニのコーヒーマシン】
新しいマシンのようですが、設置早々にダメ出しがされています。
詳しく診てみましょう。
1:分類表示(あたたかい)
2〜3:メニュー
4:分類表示(つめたい)
5〜7:メニュー
これらは、このマシンでは頻繁に見られる定番的な追加表示ですね。
この表示に関してはこちらで詳しく診ていますので、ここでは看過します。
今回ご報告したいのは、右側のマシンにダメだしされていないところです。
レジに近い左側に定番の表示を追加し、奥側には手を加えていません。
「多くの利用者に受け入れられたが、まだ保険的に定番の追加表示は必要」という考えに基づく対処と推察できます。
安易な考え方ならどちらかで統一してしまう方が気楽だと思うのですが、様々な利用者の実態に即していこうとする態度が見えますね。お客様をよく見ている店舗、と言えるかもしれません。
ところで、多くの人は繰り返し使用することで慣れていきます。「各人が操作を習得する」ということですね。
このダメ出しからは、このマシンの表示が「慣れれば使えるが、慣れていない人には難しい」との評価が深く理解できるでしょう。
【診断】
看過する、と書きましたがせっかくですので診断処方しましょう。不慣れな人には伝わりにくいことから「表示失調」と診断します。
【処方】
すでになされているような応急処置で問題ないでしょう。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.: 50
対象:コンビニのコーヒーマシン
設置場所:横浜市のセブンイレブン
報告者:ディーエムシー
報告日:2016.10.21
症例:表示失調
ダメ度:×(応急処置で対応可)
応急処置:追加表示
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・設置場所とマシンの目的
・困っていること・症状(出来るだけ具体的に)
・テプラなどの対処部分の写真と説明
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ダメマシンクリニック51【トイレのリモコン:表示失調】 ― 2016年10月28日 19:15
みなさまこんばんは!
今日また小学生の列に自動車が突っ込むという事故がありました。歩車道の区別のないバス路線で、停車した自動車に加速した軽トラックが衝突、弾みで大勢の小学生を巻き込みました。被害者は6歳、運転していたドライバーは87歳。
この事故、今見聞きできる情報からは典型的なパターンと思われます。であれば、予防策がありえたのでは、、とも思えます。悲しい、としか言葉がありません。
いま盛んに宣伝している自動車の自動運転は、この悲劇を無くすものであって欲しいと思います。
・・・
さて、今週の今週のダメマシンクリニックはこちら、東京のカフェ、トイレのリモコンです。
ダメマシンクリニック51【トイレのリモコン】
リモコンの上部、壁側にダメ出しがされています。
上から詳しく見て見ましょう。
1:注意書(長押し)
2:表示(ボタン)
リモコン上面のボタンが見つけにくい(正面からは視認できない)のと、ボタンにプリントされていた表示が消えかかっていますので、それを補うための追加表示ですね。
それから、「長押し」が促されているのが珍しいですね。
一般に「長押し」はオプション操作であることが多いため、むしろ「長押ししないでください」と書かれる場合があります。(例えばこちら)
私の印象では、普通に押せばよいボタンでしたので、疑問が残ります。
もしかしたら、うっかり触りやすい上面にあるボタンなので、かつてはしっかり押さないと流れないようになっていたのかもしれません。ただ、一度押して流れなくても二度押ししたり長押ししたりするのが一般的な反応です。ですので、「長押し」を促す必要性は小さいと考えます。
しかしこの注意書きがあることで、「ここが流すボタンである」ということが明確に伝わってきます。それは無意味とまでは言いきれないでしょう。
【診断】
既存の表示が消えかかっていますので「表示失調」と診断します。
【処方】
では、処方です。
消えた表示を補習します。その際、上面にある見づらさを補完するため「流すボタン」であることを明示するとよいでしょう。
処方01:応急処置
表示を以下の様にします。
・ボタンの上に直接「大」「小」を表示する。
・ボタンの横に「流すボタン」を表示する。
・壁面の追加表示は削除する。
「大」「小」を目立たせ、これが「流すボタン」であることを明示します。立ち上がった状態では壁面より上面の方が見やすいので、必要な情報だけを視界に入れるようにしています。
ダメを憎んでマシンを憎まず。
ダメマシンクリニックからは以上です!
No.: 51
対象:コインロッカー
設置場所:カフェのトイレ
報告者:ディーエムシー
報告日:2016.10.28
症例:表示失調
ダメ度:-(応急処置で対応可)
応急処置:表示追加
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