「恐竜はなぜ鳥に進化したのか」2010年09月24日 16:42

デザインにおいても「エコ」が言われて久しいですが、環境と生態系について、とても興味深い仮説を説く本を一つご紹介いたします。

「恐竜はなぜ鳥に進化したのか」
恐竜はなぜ鳥に進化したのか -絶滅も進化も酸素濃度が決めた」ピーター・D. ウォード著、垂水雄二翻訳、2008年。

原題は「Out of Thin Air(薄い大気の中から)」となっている様に、「地球大気の酸素濃度が進化を決定づけている」という仮説を軸に、地球上の生命約6億年の歴史を振返りながら検証して行く大変読みごたえのある一冊です。

大気の組成は安定していると教えられてきましたが、万年単位になるとかなり変動している事が判ってきたそうですね。著者はその変化のグラフと生物進化との間に関連があると気付きました。酸素濃度の低下時期と大量絶滅は一致し、その後の多様性の発露を促し、酸素濃度が高まるにつれて生物は巨大化する。見事に一致しています。

恐竜の章では、その呼吸システムである「気嚢(きのう)」が酸素濃度が現在の半分程度の頃に発生したこと、その為に酸素取得に優れていることが書かれています。
「気嚢」を受け継いだがゆえに、鳥は酸素の薄いヒマラヤの遥か上空でも有酸素運動をし続ける事が出来るのですね。

この書からは、地球環境はとてつもなく激しく変化している事、また一個体一種族では儚くとも、全体ではことごとく順応性を発揮している生命の逞しさを感じられます。

本書のような地球規模の歴史的視点にたつと、デザインで語られる「エコ」がよりくっきりと選別できそうですね。

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