マン・レイ展 美しさのあとの切なさ ― 2010年08月04日 23:16
先週末、国立新美術館にて「マン・レイ展」を観てきました。
http://man-ray.com/
ファンの方には叱られてしまいますが、マルセル・デュシャンと親交深くポートレイトの名手、というのが私の持ち合わせていた知識でした。
それは間違いではありませんが、もちろんそれだけでは無かったのです。
まず、やはりなんといってもポートレイトの美しさ。マン・レイ自身が焼いたモノクロームプリントのなんと滑らかなこと!
ピカソやキキといった当代の著名人を美しい構図の中におさめながら、ぐっと身近に引き寄せる表情、そして独特の光。
また、表現の探究者としての茶目っ気。
立体や絵画、映画などの多くの作品が残っています。写真においてもソラリゼーションを技法として完成させただけでなく、レイヨグラフと呼んだフォトグラム、レンズにジェルを塗っての撮影、色彩定着などなど、様々な技法を探求していました。
それも研究者として緻密に、というよりも、冒険家のように感性を頼りに偶然を楽しみながら発見して行く、という印象を受けました。
そして恋多き人生。。
愛と成功に恵まれた彼の人生も、全てが思い通りではなかったようです。
それでも晩年の写真は、どれも幸福感を湛えていました。
それなのになぜか私は、とても切ない気持に包まれていました。この切なさは今でもずっと残っています。
そしてまた観たいなぁ、、と思わせるのです。
これこそマン・レイ写真の魅力なのかもしれません。
http://man-ray.com/
ファンの方には叱られてしまいますが、マルセル・デュシャンと親交深くポートレイトの名手、というのが私の持ち合わせていた知識でした。
それは間違いではありませんが、もちろんそれだけでは無かったのです。
まず、やはりなんといってもポートレイトの美しさ。マン・レイ自身が焼いたモノクロームプリントのなんと滑らかなこと!
ピカソやキキといった当代の著名人を美しい構図の中におさめながら、ぐっと身近に引き寄せる表情、そして独特の光。
また、表現の探究者としての茶目っ気。
立体や絵画、映画などの多くの作品が残っています。写真においてもソラリゼーションを技法として完成させただけでなく、レイヨグラフと呼んだフォトグラム、レンズにジェルを塗っての撮影、色彩定着などなど、様々な技法を探求していました。
それも研究者として緻密に、というよりも、冒険家のように感性を頼りに偶然を楽しみながら発見して行く、という印象を受けました。
そして恋多き人生。。
愛と成功に恵まれた彼の人生も、全てが思い通りではなかったようです。
それでも晩年の写真は、どれも幸福感を湛えていました。
それなのになぜか私は、とても切ない気持に包まれていました。この切なさは今でもずっと残っています。
そしてまた観たいなぁ、、と思わせるのです。
これこそマン・レイ写真の魅力なのかもしれません。
夏季休業のお知らせです。 ― 2010年08月05日 18:48
暑中お見舞い申し上げます。
いつも格別のお引き立てにあずかり、心より感謝申し上げます。
8月に入り気温は高止まりしたままですが、皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
朝夕の風が思いの外涼しかったり、夜中に蟬が弱々しく鳴いたりと、少しづつ秋の気配を感じてしまうのも、きっと日中の酷暑の故に涼しさを探しているからかも知れません。。
さて、弊社では下記の予定で夏期休暇を実施させていただきますので、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。
休業期間:8月11日(水)〜 8月17日(火)
いつも格別のお引き立てにあずかり、心より感謝申し上げます。
8月に入り気温は高止まりしたままですが、皆様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。
朝夕の風が思いの外涼しかったり、夜中に蟬が弱々しく鳴いたりと、少しづつ秋の気配を感じてしまうのも、きっと日中の酷暑の故に涼しさを探しているからかも知れません。。
さて、弊社では下記の予定で夏期休暇を実施させていただきますので、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。
休業期間:8月11日(水)〜 8月17日(火)
富士山 ― 2010年08月10日 23:59
朝焼けと二重の虹 ― 2010年08月18日 19:15
盆のお休みに、家族で北陸までドライブ旅行してきました。
写真は行きの道中長野辺りで見た、遠く台風の予兆が見え隠れする朝焼けです。
車を止めて、しばし眺めていました。
しかし台風はどんどん近づいてきます。
そして雨が。
ふと振り向けば今度は虹が出ていました。
金沢、福井、恐竜博物館、東尋坊、白川郷と、どの場所も時間をかけてゆっくりしたいところを、何とも贅沢に足早に駈抜けた旅でした。
それでも家族旅行なので、それはそれで楽しいものですね。
旅館の小さなテレビを全員で覗き込み笑い転げるなんて、たわいもない平和な時間を楽しみました。
晴天には恵まれませんでしたが、不思議と降車時は雨にたたられず、渋滞にもあわず、楽しい家族のひと時でした!
「世界を変える」 ― 2010年08月19日 23:59
ここ数年耳にするようになり、今年はそのものずはりの「世界を変えるデザイン展」がありましたね。
例えば最新のスーパーカーよりも電気自動車や極安自動車の方が注目されるように、美しいデザインや売れるデザインよりも、社会的意義のあるデザインが大きなトレンドとなっている様です。
弊社も同じ志向を持っていますが、実は私自身はこの言葉に懐疑的です。ひとつには「世界を良くする」という意味を内包してしまっているからです。
話は飛びますが、「ユニバーサルデザイン」や「エコデザイン」のように、デザインは時にその一面を強調されることがあります。その時代の問題点を前面に出すことで、デザインが支点となって状況を変えて行く力があるからでしょう。
ユニバーサルデザインは、細分化が進んだ市場を再び一つの大きな市場として再定義するのにも大きな効力を発揮しました。「誰でも使える」は、最大化の価値を志向した結果ですからね。
さて、今「世界を変える」と言われている背景は明確でしょう。それは日本の社会が方向性を見いだせないからであり、メーカーも何を価値として提示すればいいのか決めかねているからです。
だからわざわざ外国まで出向き、おせっかいにもそこの問題を解決しようとするのです。少なくとも私自身はその自己中心性を明確に自覚しておきたいと思います。
また求められているのは問題解決であり、もしそれができれば確かに世界は変わるでしょう。しかし、もちろんベースとして善良な方向を志向するとしても、それで世界が良くなるかどうかは別次元の問題だということ、これも忘れてはならないと思っています。
それを承知の上で、それでも出て行きたいと思っています。トレードオフの関係をトレードオンさせる視点、現場のニーズをトータルな解決策として提示する解決力、関わる全ての人が喜びを持てる求心力、、それら全てのデザインの力が求められている地域があるからです。
世界で一番幸せな国 バヌアツ ― 2010年08月20日 23:50
今日たまたま見かけたTVで紹介されていましたが、世界で一番幸せな国は「バヌアツ」なのだそうです。(NHK「世界遺産への招待状」)
イギリスの雑誌社のランキングだそうですが、番組では世界遺産の「族長ロイ・マタの地」の伝説とそれを現代に伝える生活、そして現在の問題を伝えていました。
ロイ・マタは村同士の争いをやめさせ、家族や村を越えた相互互助のルールを作り、争わずに助け合う社会を実現しました。それが400年間保たれているのだそうです。
しかし最近になって土地問題が起きました。村の共有財産の土地をある家族が勝手に外国の不動産会社に売ってしまったのです。
番組では昔ながらの仕組みの存続を訴えて終わりますが、文化衝突の歴史が書かれたものを読むまでもなく、それは困難な事でしょう。
外国の文化が入る事が、やはり大きなインパクトなのです。どんなに検閲しても、遮断しても、結局は伝わってしまうものです。日本と同じとは言えないでしょうけれど、島国とってはいつも外国からの情報に価値を感じてしまうものですね。
デザインは個人に喜びを与える事は出来ます。しかしその集合がよりよい社会になるかはわかりません。個別のデザインの限界はまさにこの点です。
今以上にデザインに求められるのは、これを越える視点と問題解決なのでしょう。
変わる事を止められないのも、変わらなくてはいけないのに変われないのも、同じ性のように私は考えています。
もし避けられない変化があるならば、積極的に関わることで拓いて行くのがデザインの性かもしれない、、そんな風に思っています。
「+d SUMMER EXHIBITION」ワタリウム美術館B1F 8/25-9/28 ― 2010年08月23日 16:30
拙作「ミチクサ」を製造販売頂いているアッシュコンセプトの名児耶社長からまたまた嬉しいお知らせがありました。
今年のゴールデンウィークに銀座伊東屋本店で開催され好評を博しました「+d Design Collection」に引続き、今度はワタリウム美術館のミュージアムショップonSundaysにて「+d SUMMER EXHUBITION」が行われます。
今回のDMはシンプルです。
神宮前のワタリウム美術館は、マリオボッタ氏の「建築彫刻」としても知られていますので、お出かけになった方も多いのではないでしょうか?
沢山のアートに触れた後に、ぜひ+dのコレクションを手に取ってみて下さい。
(できればミチクサを!笑)
名児耶さん、ありがとうございました!
+d SUMMER EXHUBITION
ワタリウム美術館 B1F「on Sundays」にて
8月25日から9月28日まで 11:00〜20:00
(美術館は休館日有り)
古着をリサイクルした軍手「よみがえり」 ― 2010年08月24日 23:28
先日、ナカノ株式会社
に伺って、
窪田さんのお話を拝聴する機会がありました。
窪田さんは、リサイクル事業部の企画室長をされておられます。
古着のリサイクルをされてらっしゃる窪田さんは「ボロ屋です」とおっしゃいますが、控えめな表現の中にも強い信念と誇りを私は感じています。
そのリサイクル商品の中に、繊維を紡ぎ直して作られる「特殊紡績手袋 よみがえり」という軍手があります。
古着から紡いだ繊維を軍手に加工したもので、素材のリユースにより純綿製品の生産に対して、電力、CO2、使用農薬、廃棄資源の全てを削減する優れものです。
その製造の模様はこちらです。工場見学好きの私にはたまりません。(笑)
上の映像で繊維は白く脱色されていますが「よみがえり」は繊維のもとの色のままなので、コンセプトがより明快な商品です。
その「よみがえり」は発売1年で20万双の大ヒット!凄いですね!
環境意識の高まりだけでなく、そのデザイン性も受けているようです。(実際に「おしゃれ」という理由で使用しているユーザーがいらっしゃいます)
また、このリサイクル事業を通じて発展途上地域の経済にも貢献されています。エコと経済支援を両立されているのが凄いですね。敬服いたします。
そして、なぜ援助ではなく市場原理なのかなど、私たちの始めたテラスにとってとても大切な事を色々とアドバイスして下さいました!
沢山勉強させて頂いた上にお土産まで頂いてしまいました。
すべり止め付きの新商品をお土産に頂きました!
窪田さん、ありがとうございました!
窪田さんは、リサイクル事業部の企画室長をされておられます。
古着のリサイクルをされてらっしゃる窪田さんは「ボロ屋です」とおっしゃいますが、控えめな表現の中にも強い信念と誇りを私は感じています。
そのリサイクル商品の中に、繊維を紡ぎ直して作られる「特殊紡績手袋 よみがえり」という軍手があります。
古着から紡いだ繊維を軍手に加工したもので、素材のリユースにより純綿製品の生産に対して、電力、CO2、使用農薬、廃棄資源の全てを削減する優れものです。
その製造の模様はこちらです。工場見学好きの私にはたまりません。(笑)
上の映像で繊維は白く脱色されていますが「よみがえり」は繊維のもとの色のままなので、コンセプトがより明快な商品です。
その「よみがえり」は発売1年で20万双の大ヒット!凄いですね!
環境意識の高まりだけでなく、そのデザイン性も受けているようです。(実際に「おしゃれ」という理由で使用しているユーザーがいらっしゃいます)
また、このリサイクル事業を通じて発展途上地域の経済にも貢献されています。エコと経済支援を両立されているのが凄いですね。敬服いたします。
そして、なぜ援助ではなく市場原理なのかなど、私たちの始めたテラスにとってとても大切な事を色々とアドバイスして下さいました!
沢山勉強させて頂いた上にお土産まで頂いてしまいました。
すべり止め付きの新商品をお土産に頂きました!
窪田さん、ありがとうございました!
「シンプル&スマートエイジング」 ― 2010年08月25日 23:26
先日、ツイッターでIさんから、「アンチではなく、スマートエイジングだ」という言葉を伺い、私ははっとしました。
歴史的な街並の美しさに関して、建築物やそこで使われるものたちは、そこの生活とともに長く愛され、少しづつ時間を重ねることが魅力となっています。
実際に歴史的なモチーフの残るアパートの方が新築より家賃が高い国もあるそうで、時間をかけた事が実際に価値となって存続しています。
これは歴史を重層的に残して行くインセンティブにもなっているでしょう。
博物館に残すほど貴重なものできなく、もしろ日常を丁寧に重ねることで、生活のリアルな空間の中に残って行く、、なるほど、スマートエイジングですね!
話飛びますが、最近若い人たちが浴衣を着ていますが、安価で気にせず着られるナイロン製がメインですね。襟にレースがついたり合わせを浅くしたりと、昔の方から見ると頂けないところも多々あるのでしょうけれど、すっかり自分たちのものにしているのを見ると、これでいいのだなと思っています。
ハワイのアロハシャツのように、日本の気候風土に合った浴衣が、日常に戻ってきて日本らしい風景が見られるのは嬉しい事ですね。
さて、長く日常で丁寧に使われた結果、表れてくる風合いはまさに侘寂の「寂」です。
「侘」とは質素である事ですから、誤解を恐れずに言えば「侘寂とはシンプル&スマートエイジング」と言えるかもしれません。
質素な生活を丁寧に楽しむこと、それを何百年も続ける事。そうして生まれる風景は、美しいに違いありませんね。
歴史的な街並の美しさに関して、建築物やそこで使われるものたちは、そこの生活とともに長く愛され、少しづつ時間を重ねることが魅力となっています。
実際に歴史的なモチーフの残るアパートの方が新築より家賃が高い国もあるそうで、時間をかけた事が実際に価値となって存続しています。
これは歴史を重層的に残して行くインセンティブにもなっているでしょう。
博物館に残すほど貴重なものできなく、もしろ日常を丁寧に重ねることで、生活のリアルな空間の中に残って行く、、なるほど、スマートエイジングですね!
話飛びますが、最近若い人たちが浴衣を着ていますが、安価で気にせず着られるナイロン製がメインですね。襟にレースがついたり合わせを浅くしたりと、昔の方から見ると頂けないところも多々あるのでしょうけれど、すっかり自分たちのものにしているのを見ると、これでいいのだなと思っています。
ハワイのアロハシャツのように、日本の気候風土に合った浴衣が、日常に戻ってきて日本らしい風景が見られるのは嬉しい事ですね。
さて、長く日常で丁寧に使われた結果、表れてくる風合いはまさに侘寂の「寂」です。
「侘」とは質素である事ですから、誤解を恐れずに言えば「侘寂とはシンプル&スマートエイジング」と言えるかもしれません。
質素な生活を丁寧に楽しむこと、それを何百年も続ける事。そうして生まれる風景は、美しいに違いありませんね。
デザイナーの仕事 マザーハウス山口絵理子さん ― 2010年08月26日 23:49
人気ドキュメンタリー「情熱大陸」をはじめ、沢山のマスコミで紹介されていますのでご存知の方も多いと思います。
「途上国から世界に通用するブランドを作る!」という志、そこに至るまでの思いと行動、マザーハウスの今、そして今後について、沢山の思いを語って下さいました。(起業の詳しいエピソードはご著書「裸でも生きる」「裸でも生きる2」をご覧下さい)
直接お話を伺って、ご著書を読んで感じた事と、テレビなどの報道で伝えられている視点が立体感を持って繋がりました。
そして感じた事は、山口さんはデザイナーである、という事実です。デザイナーが感じる事、デザイナーがする事、デザイナーが伝える事、その全てをなさっています。自力で、全力で、仲間たちとともに成し遂げるエネルギーに私は敬意を表します。
素晴らしいです!!
「デザイン」について広く捉えられるようになってどのくらい立つのでしょう。狭義と広義の間には差が激しく、狭義のデザイナーは歴史の中だけとなり、広義のデザイナーは実像を体現している人も暫くお見かけしませんでした。
山口さんは、広義のデザイナーを一人の実像として体現している数少ない方でしょう。
「デザインの仕事とは何ですか?」との問に「山口絵里子さんのなさっている事」と答えられるに違いありません。
話が飛びますが、私はデザイナーですと名乗るのがずっと恥ずかしいと思っていました。この仕事をさせて頂くようになって20数年がたち、その思いがやっと薄らいできたのですが、山口さんを前に「デザイナーです」と名乗るのが恥ずかしかったです。
欲張りなのですが、デザイナーと名乗るからにはデザイナーの仕事をしたいと思います。それにはまだまだ力量不足ですね、決意を新たにしながらも、ああ人生の時間が足らない、、デザイナーの端くれで死にたい(大げさ!)と思ったのでした。
山口さんを私に教えて下さってIさんにツーショット写真を撮って頂きました!
山口さん、Iさん、ありがとうございました!
ところで、会場となった横浜市開港記念会館は、横浜を代表する大正時代の建物です。
外との連続を感じるガラス窓のついた講堂は、古い建物特有のひんやりした空気が気持いいです。
無料で見学出来ますので、お近くにお越しの際はぜひ立ち寄って見て下さい。
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