歴史2009年10月16日 18:22

ここのところ歴史がブームだとか。
歴史を知るのは私も好きです。今も中世ヨーロッパの歴史の本を読んでいますが、物語としても面白いですし、様々な示唆に富んでいるので興味がつきません。
その本の著者は「歴史は娯楽である」とおっしゃっていて、なるほどと思いました。

さてその本の中に、16世紀頃は「質から量へ転換した時代」という記述があり、はたと立ち止まりました。ルネサンスを経て大いに栄えたベネツィアやフィレンツェを代表とする、小さくとも経済力で反映した「都市国家」から、スペイン、フランス、オスマントルコの様な「大国」の時代へ入った事を指しています。

時代の転換点は、後世の人から見たら一目瞭然であっても当代の人が気付くのは難しい事です。でも確かに大きな流れと言うものがある様です。そのことを改めて感じ、さて、私が生きている今はどんな時代であるのかと、今更ながらに疑問に思ったのでした。

答えは簡単には見つからないのですが、デザインをして行く中で感じている「今」は確かにあります。これを「来て欲しい未来」へと繋げて行く努力に価値がある、と改めて思いました。

塩野七生著「ローマ亡き後の地中海世界」
http://www.shinchosha.co.jp/topics/shiono/top.html

桟橋2009年10月19日 23:29

大桟橋からの夕陽
横浜港の大桟橋からの眺めです。大型客船に合わせた高さの展望デッキはボードウォークと芝生で覆われていて気持のいい所です。眺めもこの通り、冬の晴れた日は富士山に沈む夕陽も。
この日は船上で結婚式が行われていました。

遊びに来られる方に「横浜らしい場所を」と問われると、最近はここをお勧めしています。

新しい「道」 芝生の路地2009年10月20日 16:10

ガヤルドの奥にカレラ
先日首都高を走っていたら、偶然にも沢山の「スーパーカー」と並びました。(スーパーカーって今はなんというのでしょう?)
写真はランボルギーニ・ガヤルド、右奥にポルシェ・カレラが見えます。
この前にマセラティ・グランツーリスモ、その後にロータス・エスプリと並走しました。
みなさん、ゆったりとしたペースで走っていたので、それぞれの音を聴き、造形美を視界に納めながらのドライブでした。

私は「子供の頃はランボルギーニに憧れたなぁ」などと思いながら、これからの自動車について思いが巡りました。
暫くは「エコで速い車」がトレンドだそうですが、もうすこし長い目で見ますとエネルギーの代替以上の転換がありそうです。

例えば静かなマイクロカーやロボットのような移動手段が狭隘(きょうあい)道路や未舗装路、さらに段々坂や家庭の中まで入ってきそうです。
そうであれば自動車と生活の具体的な関わり方が変って行きますね。

私はその変化の中で「道」そのものが大きく変わることを考えています。
たとえば、狭い路地が狭いままで生活路として活用されて行くのなら、その道は自動車にあわせたアスファルトより、人にあわせたボードウォークや芝生のほうが断然いいと思いませんか。
もし路地が全て芝に吹き替えられたら沢山いいことがありそうです。突然の雨も地面に吸収して、夏のヒートアイランドにも効果を発揮するかもしれません。子供もお年よりも万が一転んでも怪我が少ないですし、火事になってあわてて飛び出しても裸足で逃げられますよね。

そんな路地のある街に住みたい!
そこを楽しく走る小さな車が欲しい!
・・と思いが巡っております。。

過去記事:小さい車
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/02/24/4649146

錫の茶荷2009年10月21日 16:38

錫の茶荷
中国茶の師匠が使っていらした錫の茶荷です。茶荷とは、茶葉を茶壺(急須)に入れるための道具で、茶葉の姿を眺めるためにも使います。

師匠てずから錫の小皿を変形させて作ったそうです。錫は柔らかいので手のひらで少しづつ曲げて作ったとのこと。柔らかい肌理が「てびねり」の形に合っていますね。
伺うと、その小皿はもともと錫の柔らかさを楽しむために作られたものだそうです。

錫器は神具として使われていますから歴史もあり身近なものなのでしょうけれど、普段の生活の中ではちょっと特別な素材の印象です。私が持っているのはビアマグと燗徳利、どちらもちょっといいものです。
銀とは違う、「身近ながらも少しかしこまった器」というところですね。

Kuzushi - Tare
http://www.nousaku.co.jp/product-table-details.html#tare50156

お花畑2009年10月22日 23:14

お花畑
写真は静岡で見かけた花畑です。早春にすき込んで肥料にするそうです。
もともとは肥料にしたり、病害虫予防にしたりするために植えられるようになったのが田畑の花で、あぜ道の彼岸花はモグラよけ、葡萄園の薔薇は病気予知だそうですね。
でもコスモスは観賞用かもしれませんね。最近は休耕田を花畑にして観光名所にする所も増えているとか。

由来は色々とあるのでしょうけれど、春と秋、沢山の花があちこちで見られるのは嬉しい事ですね。

「ナニゴトノ不思議ナケレド」とは白秋の一節ですが、花が美しいと感じる感覚は一体何なのだろう、、といつも不思議な気持になります。

過去記事:薔薇
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/04/02/4220823

盆栽2009年10月23日 23:29

小品盆栽 ガジュマル
10年程前からでしょうか、ミニ盆栽や小さな雑木の苔玉を見かけるようになりました。テーブルグリーンとして楽しんでいる方も多い事でしょう。

私はある日突然盆栽が好きになりました。デザインと言う仕事を追いかけていて、ひたすら「新しい事」を念じていた頃、盆栽の写真に目が釘付けになりました。売れ残りのカレンダーに載っていたものですが、とても美しく感じたのです。

「古色」というそうですが、年月を重ねたことを美とする価値観に厚みを感じます。実際に鉢に入ってから100年を越えるものも多数あり、宮内庁には数百年のものが何点も伝えられています。

知っているようで知らなかった美しさに、それまでの視野の狭さを砕かれる思いがしました。

写真はガジュマルの小品盆栽です。今9年くらいのものの鉢に入れた当時の写真です。

過去記事:古さの価値
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/04/08/4232546

墨田区2009年10月26日 16:05

スカイツリーを臨む
先週末、ご縁あって墨田区の工場と商店街の視察に参加させて頂きました。墨田区は物作りの拠点として都心に近いながら、住職一体の街として活気があります。その元気の秘密を拝見させて頂こうとの主旨です。

コーディネイトして下さった墨田のある方から、道々お伺いしたお話がとても印象に残りました。それは「横の繋がり」です。

昔ながらのご近所付き合いで、繋がりの深さは他を越えていて、例えば道具や材料まで貸借をしているとのこと。また自社で請けられないような仕事も他社に回して、結果的に大きな会社と同じようなワンストップの受注ができているとのこと。

受注組合やLLPという枠組みがありますが、信頼関係をベースにしたレスポンスの良さは、一朝一夕では出来ないことでしょうね。これはやはり墨田区の強さの秘訣なのでしょう。

話は飛躍しますが、先日紹介させて頂いた本の話を思い出しました。スペイン、フランス、オスマントルコといった大国に囲まれながらイタリアの小さな都市国家はそれぞれの道を探るのですが、ジェノバ、フィレンツェなどの栄えた都市国家は、国内の有力な名門同士の抗争も絶えませんでした。唯一ベネツィアだけが仲間割れをせず皆が国益を守ることで故に独立を通した、との事です。

今どの業界も大きな企業を構成する動きが盛んですね。その変化の中では小さな独立体は前途多難です。墨田区のお話を伺って、ベネツィアの逸話が現実味を帯びたイメージで巡っております。

おいてけぼり2009年10月27日 23:21

台風一過の空に白い雲
台風一過の気持ちいい青空に、ひとつだけ白い雲が浮かんでいました。
台風について行けずにとり残されてしまったような、マイペースで悠々としているような、、。

今日もどこかに出かけたくなる空でした。

横浜らしさ2009年10月28日 23:18

象の鼻パーク 旧鉄道高架下
7〜8年前の事です。横浜市の中小企業を支援する団体の、海外窓口の方がおっしゃっていた次の言葉が忘れられません。

「横浜にはこれという土産がないのです」

海外から見えた方に企業を紹介し、街を案内し、美味しい食事をともにして有意義に過ごした後、最後の別れ際に渡す土産にいつも困っているとおっしゃっていました。
もちろん、名の通った食品もありますが、横浜市の産業の粋のような、横浜らしくていつまでも心に残るものを探しているとおっしゃっていました。
「何かいいものがあったら教えてよ」と言われ、即答出来なかったのが悔しかったです。

それ以来「横浜らしさ」について思う事が多いです。特に、海外の美しい地方都市を観ると、日本でこれをするにはどうしたらいいのかと考えてしまいますね。

横浜は開港以来、「通商」で反映し、さまざまな「最先端」が渡来する場所でした。やがて京浜工業地帯として「製造」で反映し今に至ります。
通商と工業で150年という歴史は、街としては新しい部類でしょうね。この歴史に沿っていながら新しい魅力をデザインして行けたら、、そんなことを考えています。。

撮影は照明2009年10月29日 21:04

今日はアプリケーションに組み込む素材にするため、沢山のプロダクトを一度に撮影しました。
あらかじめ決めたルールに則って、違う製品同士で同じ角度で見えるように撮影して行きます。

色や形、質感が異なる製品に、それぞれの特徴を引きだす様に照明を当てて行きます。
開発にかかわる中で常々手に取っていたものが、照明を浴びてシャッターを切られると、実に美しく浮かび上がって来るのですよね。
その見事な仕事ぶりに、驚きと喜びの声を上げてしまうのでした。

オシヤマスタジオ
http://oshiyama-studio.blog.so-net.ne.jp/
dmc.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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