「好きな未来」2009年11月10日 19:47

「何を創るべきか」
ものを生産して売るものにとってこの問いかけは永遠ですね。アイデアがなく途方に暮れることもありますが、逆に複数の選択肢から難しい判断を伴うこともしばしばです。

特に売上に関わること、つまり売れるかどうかは最大の関心事で、作るかどうか、そのデザインにするかどうかの大きな基準となります。ここを外せば未来がないのですから当然のことですね。
でも大切なのはただ売れればいい、という短絡的な考えでは判断を誤ってしまう、ということです。

私は、「好きな未来」を感じられるかどうかが大切だと思っています。その製品がある未来は好ましいだろうか、そのデザインのある未来が好きだろうか、、そうイメージすることで短絡的な思考に陥ることを防いでくれるのですね。


過去記事:まっとうなことを正々堂々と
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/10/13/4630645

サバイバー2009年11月11日 21:52

長寿のお年寄りを敬意を込めて「サバイバー」とよぶそうです。
はるか永い人生の闘いに「勝ち残ったもの」という捉え方がいかにも米語らしい響きを感じます。

話は変わりますが、ファッションは機能的でスポーティなものが増え、女性の美しさも筋肉質になってきているそうです。男性も女性も現在の理想体系の維持には日常生活の運動だけでは不可能だそうで、美しくあるためには鍛えなければいけないのです。
これはもしかしたら「生存能力」の表現とも思えます。「生き残る強さ」が求められる時代ということなのでしょう。

体験化で素早く 言語化で深く2009年11月12日 23:37

ある先生は、子供に円周率を教えるのに図で描いて教えるのではなく、茶筒に紐を巻いて見せるそうです。その紐の長さが茶筒のどこの長さと、どのような関係にあるか、子供達はすぐに理解出来るそうです。
「百聞は一見に如かず」ですものね、目に見えるという事は素早く伝わって行きます。
面白いのは同じ「目に見える」でも、図示と茶筒では結果が異なると言う事です。体で感じる事に意味があるのでしょう。

アイデアを比較したり目標のイメージを共有したりと、デザインだけでなく、開発において視覚化の役割はとても大きいです。
そのプロセスにおいては「体に感じる事」も含めた視覚化、つまり体験化を通すことで、素早く考えを進めることが出来ます。

一方で、もの事を正確に伝えたり、意味を与えたり、目的を示唆したり、、言語化の役割はとても重要です。これは意外と忘れられがちなことでもあります。

体験化と言語化等と硬い表現になってしまいましたが、絵にして名前を付ける、プロトタイプを作ってコンセプトを立てる、ということです。
どちらかに片寄る事の危うさを忘れては行けないでしょう。

出会う力2009年11月13日 23:55

今日は、一度の出会いを豊かな愛情で強い絆へと育む、そんなお力を持った素敵な方のお話を伺う事が出来ました。

日本の質のいいTシャツとオーガニックコットンに情熱を注がれておられる久米繊維工業の久米信行社長です。柔らかくて響きのいいお声で、その秘訣を教えて下さいました。
それは「相手のことを良く知る」ということです。

早速実践したく、ブログを拝見しました。
http://kume.keikai.topblog.jp/index.html

ブログから久米社長のお人柄と出会いに大切にされるお心が溢れております。
「いまは「意」をもって行動する人が少ない」とおっしゃっていましたが、久米社長の「意」がひしひしと伝わって来ました。

また、「志」を軸に物事を進めて行ける時代だともおっしゃっていました。仕事を自らのライフワークとしてとことん突き詰めて行く力強さに感銘を受けております。

久米繊維工業
http://T-GALAXY.com/

茶刀2009年11月16日 18:26

茶刀 昆明 龍鳳房オリジナルハンドメイド
我が中国茶の師匠、古田土先生は軽快なトークで人を笑わせるのが大好きなサービス精神たっぷりのチャーミングなお方です。

お茶への情熱はなみなみならないお方で、先日も大陸の奥まで茶樹を求めた旅に行かれておられました。写真はお土産に頂いた「茶刀」です。雲南省昆明は龍鳳房の手作りで、持ち重りのするの逸品です。
先生、ありがとうございます!

小さめのタクト(指揮棒)くらいの大きさで、茶の塊をほぐすのに用います。これは針状ですが、その名の通り刀のようなものもあります。この小さい道具一つにも沢山の意匠があり、工夫が施されていて文化の厚みを感じます。機会があればデザインして見たいと思う物のひとつですね。

雲南は茶の発祥地で、古くから黒茶と呼ばれる固めて微生物醗酵させたものを遠く西域まで通商しておりました。野菜の貴重な地域ではお茶は健康に欠かせないもので、今でもこれをミルクティーにして飲んでいるそうです。

ちなみに、「運んでいるうちに発酵が進んでしまい、中国では半発酵の烏龍茶がヨーロッパでは全発酵の紅茶になった」というのは間違いだそうです。
先生はお茶に関する事なら何でも知っていらして、お茶の話の種は尽きないのです。

古田土先生ブログ
http://nomarukumederu.cocolog-nifty.com/weblog/
http://putiputi.chalefang.com/
dmc.
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
「デザインの言葉」 by Fumiaki Kono is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.