工場の煙突2009年12月01日 08:35

煙突と富士山
今日は出張で大阪に来ています。
写真は新幹線から見えた富士山。手前にもくもくと煙を吐く煙突がありますね。見る方のお考えによっては示唆的なカットですが、私はこの取り合わせはそれほど嫌な印象がありません。むしろ懐かしさと美しさを感じます。京浜工業地帯で育ったせいかもしれません。

子供の頃は光化学スモッグが頻繁に発生して何度も避難して煙突も煙も嫌いでしたが、あの煙突の下で働く職人さんたちは好きでした。
今は排出物の規制や環境技術の集積があって以前とは比較にならないと伺っています。

美しい日本の風景の中にものづくりの現場があり続けて欲しいと願っています。

「ゼー六」2009年12月02日 20:58

大阪の堺筋本町に素敵な喫茶店がありました。

ゼー六
ゼー六 外観

戦災を逃れた昭和初期の二階屋に、店内は年季を感じる凝ったしつらえ。雑然としていますがそれがほっとさせる空間になっています。

ぜー六 店内
メニューに「コーヒー200円」「アイスモナカ200円」とあります。
驚きは安さだけでなく、コーヒーは自家焙煎、アイスは毎朝ご主人が手作りされているものです。それも実に美味しい。アイスはさっぱりと懐かしくて飽きの来ないものでした。

凄いなぁ、と感動して、写真を撮らせて頂きました。戦前から商売をしていて今は三代目との事です。
屋号はご主人のお名前かと思い伺いますと、ゼー六とは大阪商人の心得だと教えて下さいました。

ネットで検索して見ますと「贅六とは上方を揶揄する言葉。才六の江戸訛り」と出ています。命名された先代は当然それは承知の上で、洒落と含蓄を込めたのでしょうね。

ゼー六 ご主人
「袖の下でなく袖の中で商売せぇ、っちゅうこっちゃな」

袖の下=賄賂=金の力ではなく、袖の中=腕=実力で商売しろ、と。人懐っこく落語家のような語り口で、笑わさなければ失礼とでもいうようなサービス精神で「贅六」について教えて下さいました。

頭でもなく心でもなく腹に収まる言葉。また拝聴しに参りたいと思います。

2009年12月03日 01:39

あるGUIデザインで、画面内に色が多くて散漫な印象だったものを、一つの方向性にまとめてシャープな印象になる方法を探っていました。
質感や基調色、空間など色々と試している中で、レイアウトの基準線、レイアウトラインに「赤」を用いた時、突然多色が一つの塊に見えてきました。これはとても新鮮な驚きであり発見です。青でも紫でもなく赤だけがそのような力を持っていました。
「赤」を使うって、そういうことだったのか!と一つ掴んだような気持になりました。

可視光の中で波長が最も長い「赤」は、もっともアグレッシブでありながら、最も基本的な色です。「明るい」と「赤い」は語源が同じと言う説もありますし、生まれて最初に目に映る色も赤だそうです。
GUIでは特別な色の部類に入る「赤」ですが、この色の力をもっと使いこなしたいと思っています。

過去記事:ゲーテの失敗
http://dmc.asablo.jp/blog/2009/03/13/

多様性2009年12月04日 23:15

「全員賛成は否決」

これは、ビジネス書籍で時に目にします。言い方は異なっても多くの著名な経済人が同様なことをおっしゃっているそうです。

・みんながいいと思うことを今さらやっても遅い

・議論の争点がずれている可能性がある

・別の力学が働いている可能性がある

などの理由ですが、どれもなるほどと思います。

この考え方の元はユダヤの知恵だそうですね。
検索してみますと神学的な解説が一般的ですが、古代の人々の「全員賛成は危険」という感覚の鋭さがなければ導き出せないことだったでしょう。

歴史の本によれば、ある文明が勝れば、文化もその文明に内包されるものに塗り変って行くそうですが、その流れの中で多様性をどのように開かせて行ったらいいのか、、。
市場がグローバルになるにつれて「正解指向」が強まっていることに、冒頭のような知恵が必要なのではないか、と感じている所です。

きの会2009年12月07日 12:11

先週末、横浜市の若い経営者の集まる勉強会「きの会」にお招き頂きました。
今回は、台湾茶を商う高橋ジョージさんのプレゼンで、台湾茶の試飲を行いました。
髙橋さんはロックなお名前からは想像できない物静かさの中に、お茶への情熱を湛えておられましたです。(写真奥のお茶を淹れられている方)

きの会
私は中国茶が大好きなので、思いがけない僥倖に感激しました。

勉強会の後は忘年会、いや望年会へ。
年を望む会とはみなさまの志の現れなのですね。
きの会

「きの会」の方々は、IT、介護、旅行、爪切りサービス、海外支援等々、それぞれに専門性が高くまた奥深い世界で起業されており、お話し一つ一つがとても新鮮で刺激的でした。
きの会の皆様、楽しいひと時ありがとうございました。
明日の株式会社村尾さん、幹事ありがとうございました。

高橋ジョージさんのお店「うるおい茶園
幹事村尾さんのブログ「明日のための今日を作る。

「銃・病原菌・鉄」2009年12月08日 07:36


銃・病原菌・鉄

2000年発刊、ピュリッツァー賞受賞のヒット作、「銃・病原菌・鉄」を再読しています。
文明の勝敗の要因は人種ではなく環境の差であるという主張は、9年を経てもなお新鮮で説得力を感じます。
また環境運命論のような諦観を感じる事はなく、歴史をひも解く面白さに満ちていますね。
環境から導かれる歴史の必然性は、それを体現して行く人間が必要である事も示唆しているようでもあります。

自分たちの置かれた環境を冷徹に見る事、必要な事をする事。言うは易しですが、視野を広げて沢山の事を感じて行きたいと思います。

「株式会社田中製作所」2009年12月09日 11:43

同じ横浜市ということでご縁のありました「株式会社田中製作所」さんに伺い、今デザインしているものの開発にご尽力下さるとおっしゃって頂きました。心強いです。皆さんにお見せできることを楽しみにして頑張って参ります。

打合せの後、田中社長直々にご案内頂き工場見学をさせて頂きました。

沢山の最新鋭の機械が所狭しと並んでおります。
NC加工機
こちらのNC加工機は小さい方で、これより大きな機械も見せて頂きました。
上のドラム状の部分に替刃が沢山並んでおりますね。どういうわけでしょう、「削りたいっ!」と思わせる形と動きをしております。

こちらは三次元測定器の先端です。
三次元測定器 ルビーの先端
ルビーの球体が物体をなぞって行く所を見たいと思って眺めていました。

もっとお見せしたい機械が沢山あるのですがノウハウが沢山写ってしまうので、撮影ほどほどで自粛です。

こちらは手動の旋盤。
旋盤
古いけど大切なものだ、とおっしゃっていました。手入れが行き届いた現役の機械は古くても背筋の通った印象です。

最後は「刃(バイト)」です。
加工機の刃(バイト)
切削する部品の形にあわせて、その加工専用につくられるのだそうです。この形にも沢山の知恵が詰まっているのですね!

田中社長、久美子さん、お忙しい所本当にありがとうございました。

こどもの絵2009年12月10日 23:23

Tシャツの絵
子供たちは本来お絵書きが好きなのだそうで、技量に関わらず絵を描く面白さを楽しんでいるのですね。
我が家の子供たちの絵を見ると、3歳くらいまでは好き勝手に描いて、徐々に姉妹や友達の絵の影響を受け、10歳頃には有る程度決まったパターンに落ち着いてくるようです。

写真は下の娘が8歳の時に描いたもので、今(10歳)はこう言う絵は全く描きません。何故かと問えば「恥ずかしい」のだそうです。
この先も描く事が好きなら、思春期の頃にまた自分なりのスタイルを求めて、人とは違うものを描くようになるかもしれません。

素直な感覚から他との同化、そして自分らしさへ。この感覚の自然な流れをオーバードライブして高みに引上げて行くのが「教える」ということなんだろうと思っています。

確かめる2009年12月11日 23:07

盲人用とある信号の押しボタン
関西のある都市で見かけた信号機のボタンです。
手探りでこのボタンを触って見ました。
痛いです。。
古くからあるもののようですから、まずはある事が大切だったのかもしれません。

開発のコストダウンも迫られる中で、さぼってはならないこと、つまり最低限必要な事は4つです。
 調べる
 考える
 形にする
 確かめる
ごくあたりまえのことですが、どれも大切な事ですね。
しかし、案外に確かめることがおろそかになってしまう状況もあるようです。

「どう感じるのか」が抜け落ちてしまわないように、形にしたものを価値観無しに触れて行くことが大切だと思っています。

ひょうたんから水・せんとくんバージョン2009年12月14日 15:56

ひょうたんから水」のせんとくんバージョン。
ひょうたんから水・せんとくんバージョン

出張先のお土産屋さんで見つけました。
たまたま先日「ひょうたんから水」のお話を明日の株式会社の村尾さんから伺っていたので、思わず衝動買いです。

奈良の名水「ごろごろ水」を詰めたちょっと高級なペットボトル水は、飲み終わった後はマイボトルとして、とのエコメッセージも。

知らなかったのですが、2004年発売当初から水自体の魅力と可愛さでロングセラーになっているのですね。
シルエットだけはっきりと判るとスタイルも、無駄のない大胆なグラフィックも、商品のメッセージも全て小気味いいです。
デザインの力が発揮されている商品に触れられて嬉しくなりました。
dmc.
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