「美の基準」真鶴町 ― 2010年10月05日 23:59
昨日、町内のまちづくりの参考にさせて頂くために、神奈川県の真鶴町に伺いました。
真鶴には有名な「美の基準」という、法令で裏付けられたまちづくりのルールがあります。
これはその「デザインコードブック」です。
美の基準は8つ。
1場所
2格づけ
3尺度
4調和
5材料
6装飾と芸術
7コミュニティ
8眺め
それぞれをかみ砕いた69のキーワードが、理解の手掛りとともに挙げられています。
町役場の方にご説明頂きましたが、この基準が出来た背景は、バブル期の開発圧力に町を守ろうとしたことが切掛で、当初は大規模開発に歯止めをかけるため、大規模開発には水道供給をしない、という条例を制定したそうです。
(とどめを刺すようなアグレッシブな条例ですね!)
制定には五十嵐敬喜・法政大教授が監修をされたそうです。しかし真鶴町が単なる「開発阻止」から一歩踏み込んで「美の基準」を制定するに至った経緯は不明との事でした。
ともあれ、町の中を散策しました。
「背戸道」と呼ばれる路地も大切にされているそうです。
地元の「小松石」の石垣とそこから咲く花も「美の基準」に符合するとのこと。
もちろん、この階段も守られています。これは一般的な「まちづくり」からは驚愕の事なんですよね。普通は防災上良くないとされてしまいますから。
時折家と家のすき間から港が。視界には入らなくとも操船の音や潮風にいつも港を感じます。
ふいに開ける眺望は清々しいですね。この眺めも守られています。
山坂道と狭い路地は、私自身の育った環境に近いのでとても親近感がありました。
条例は新しくできるものに対してのルールなので、何か特別な風情が休息に浮かび上がってくるものではありませんが、10年20年経った後の姿を想像するのが楽しみです。
ちなみに真鶴町は、その景観への取り組みが今年の「世界デザイン首都ソウル」で表彰されました。
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