逸品少量生産 ロングセラー2010年12月21日 23:59

今年は「少量多品種生産」を多く耳にしました。
生産がIT化され、一つからでも複雑な最終製品を作れる技術がどんどん確立されていく流れを今年は強く感じました。

既にその方法で成功を納めている会社にデルコンピューターがありますが、ユーザの要望を受け入れ必要なだけ生産して販売する、というスタイルがどんどん加速しているそうですね。
受注、生産、物流をICTで徹底的に効率化してコストを下げる一方で、オペレーターのニーズを吸い上げるきめ細かさに磨きをかけているとのこと。

またファッションではトレンドを先読みして、作り切り売り切りで大量販売する「ファストファッション」が話題になりました。少量多品種のニーズが最も高い分野でしょうから、ひとつのベンチマークになっているに違いありません。

さて、「少量多品種」は以前から、私の記憶では20数年以上前にも言われていました。人はきっとそれを必要とするのでしょうね。

しかし、こんなモノが欲しい、とどんな物にでもはっきりと具体的に言える人はそれほど多くないとも思います。車にはこだわるけどファッションは気にしない、そういう方に服の好みを聞き出すのは難しいです。
お国柄により市場毎の相違はあると思いますが、その方にとって興味のあるモノ以外は市場トレンドに左右されるでしょう。

逆に、興味のあるものには強く具体的な要望が生まれます。それが市場として小さい場合は、要望に叶うものを見つける事が難しかったのですが、少量多品種生産の技術を介せば状況が変わりそうです。
それは少量多品種と言うより逸品少量と呼んだ方がしっくりくるかもしれません。

デルもファストファッションも少量多品種とはいいながら総量が大きいことが商売なのですが、逸品少量では総量も小さいですね。
ですので、長く売れる事で最終的に総量を稼ぐものにしなくてはならないでしょう。

「ロングテール」と言われるようにネット上の販売の現場では逸品少量が既に起きています。ここで大切なのは「欲しい」を強く言える感性ですよね。
生産の現場が「これ欲しい!」と思いながら作れる状況をいかに作りだせるか、、デザイナーの仕事だと思っています。
dmc.
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