技術が変えるスケール2012年10月11日 21:28

ハノーファーの模型
ドイツ北部ハノーファー市庁舎に飾られていた、ハノーファー公国首都の模型です。写真を整理していたら出てきました。
(17〜8世紀の姿と思われますが詳しくは判りません。)

この星形の堀の形は15世紀のイタリアが発祥で、長くヨーロッパの要塞に採用されていたとのこと。「弓矢から小銃へ」という技術革新に伴う戦術の変化がデザインに現れています。
日本では函館の五稜郭が有名です。しかし、五稜郭が作られた19世紀には既に火器の性能が向上し、このデザインでは軍事的な意味が無くなっていたそうです。つまり「外観の目新しさ」のためだけに採用されたデザインでした。

このエピソード、とてもひっかかるものがあります。
一つには狭い範囲での目新しさが、本来の目的を超えて優先されてしまう事。
もう一つには技術革新と戦術の結びつきに疎い事。

火器の届く範囲と性能が軍事上の戦術を根本的に変えると言うのは基本中の基本だそうです。
私は軍事の事はさっぱり判りませんが、技術革新が市場での優位と企業戦略を大きく変える、と言い換えれば少し実感が湧きますね。

しかし、(私を含めた)日本の現場においては、技術革新を「品質」と捉える事には敏感でも、「スケール(時間と距離)」と捉える事には鈍感なような印象を持っています。

例えば、汎用技術に対して性能差で勝負を挑むことはあっても、その「汎用さでの勝負」には出遅れがちだったと悔やむ声は度々聞きました。この「汎用さ」をスケールの問題と捉えると、納得してしまう所が多いです。

振返って様々な技術が「距離と時間」を縮めています。それをスケールの問題として捉え直すという視点、今更ではありますが再考したいと思います。

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