梅雨明け2009年07月15日 21:18

みなとみらい 高島町方面から
昨日、関東甲信越地方は梅雨明けしました。
風の強い日が続き、雨雲がしだいに吹き飛ばされて行ったようですね。今日も日差しと風が強い一日でした。

夏は暑い方が好きです。でも近年はちょっと度が過ぎていましたね。今年も暑さを楽しんで爽やかに過ごしていきましょう。

コンセプト2009年07月16日 23:07

「何を作るべきか」
議論を重ねて、多くの知恵を結集して、一つの答えを導き出す過程に、大きく異なる二つの帰着点があります。

一つは、大勢の合意を得られる答えを導き出すもの。
もう一つは、少数でも強い共感を得られる答えを導き出すもの。

前者をマジョリティ、後者はマイノリティと言い換えると、デザイン開発の目指すべきは後者、マイノリティの方です。ただし、「マジョリティが追随する」ことが見込めるものです。

「マジョリティが追随するマイノリティ」
当り前のことではありますが、今はまだ少数の人にしか理解されていないけれどやがて皆に支持される価値観こそ、強力に市場を牽引する価値となるでしょう。

私たちが行うコンセプトワークは、この指標を具体化するためのものです。
それには「私たちが作るべきものは何か」という主語、つまり主体者を意識する事が必要だと考えています。
これからは、ただマーケットに受け入れられるだけではない必然性のある商品を作って行きたいですね。

「不美人法」2009年07月17日 22:24

「不美人法」
プロダクトデザイナーの草分けであり、著書「口紅から機関車まで」で有名なレイモンド・ロウィー氏が提唱した方法です。

ご存知の方も多いと思いますが、簡単に紹介させて頂きます。
ある商品のデザインを選ぶ際、氏は消費者を集めて多くの案の中から「嫌いなもの」を選ばせました。選ばれたものを落とし、残されたものにまたそれを繰り返していき、一つの案を選定しました。
これとは逆の「好きなものを選ぶ」方法(美人法)より、市場での成功率が高かったと伝えられます。
簡単に試せますので実際に行って見ますと、不美人法と美人法では結果が微妙に異なります。

人は「嫌いなものに敏感」に出来ているそうですから、それを上手く利用している方法なのでしょう。古典的ながら精度が高い方法ですのでお薦めです。

待ち時間2009年07月21日 22:33

手紙を出して、返事が届くまでの時間。
レコードの針を落として、音楽が始まるまでの時間。

電子メールを出して、返事が届くまでの時間。
再生ボタンを押して、音楽が始まるまでの時間。

待ち時間がなくなることはいい事です。便利になり効率は増します。時間価値が経済的価値に変換される場面は多くあります。

服をオーダーしてから、仕上がるまでの時間。
レストランで注文してから、サーブされるまでの時間。

しかし、待ち時間に別の意味を見いだすこともあります。期待が膨らむ楽しい時間なら、待つ事も豊かなものかもしれません。

UIにおいてデザインは、使う方を待たせてしまう状況に別の意味を持たせる事が出来ます。
それは単なるメッセージの表示ではなく、機器への信頼と期待値に応える事でつくられていく、関係性のデザインをしていくことだと思っています。

物語になる2009年07月22日 19:44

行為を誘発、誘導する造形を「アフォーダンスがある」といいますが、自然で有意義な形態をデザインする際の基軸となって久しいです。更に、デザインはその行為の意味付けまでアフォードしています。

例えば、椅子はすわる形をアフォードしている、という言い方で説明されています。平易に言えば「椅子はすわる形をしている」ということですね。同じように「ドアノブは回す形」をしています。
でもデザインはここで終わりません。その椅子が座ることにリラックスを求めるものであれば深く優しくつつむ形態かもしれません。忙しい朝に朝食をとるためのものであれば軽くて機能的な姿をしているでしょう。誘発する行為の意味あいまで、形態に現れていると言えるでしょう。
もってまわった言い方になってしまいましたが、これはデザインであればとても自然なことですよね。デザインには全てのサインが含まれてしまうのですから。

そして、大切な視点「私」がそこに加わると、「椅子でリラックスすること」にもう一つ意味を加えることになります。ただ椅子が誘うから座るのではなく「リラックスしたい」から座るのです。その瞬間、私の体とともに心も動いて、座る前と後では何かが変化して行きます。「私」がその椅子に座ることは、少し大げさに言えば私の物語の展開なのです。

既によく知られた事ですが、この物語をひもとくことで、多くの大切な示唆が得られます。
その重く大きな鉄の扉、私がその扉を開けることに見いだす意味こそが大切な視点なのですね。
dmc.
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