「デザインは贈り物」2009年03月09日 22:27

「デザインとは何か?」
という問いかけに、多くのデザイナーがそれぞれの言葉を残しています。それらを折りに触れてご紹介させて頂きたいと思い、カテゴリー「言葉」を新設いたしました。

大家の言葉を紹介する前に、まず私自身の考えを表明させて頂きます。多くの優れたデザイナーの後では、その機会を失ってしまいそうですので。。

さて、私にとってデザインは「贈り物」です。

まず、使われる方のことを良く知り、心から考えることから始まります。何に困っているのだろう、何をどうすれば喜ぶのだろう、本当に必要なものは何だろう、どのような感じのものがいいのだろう、どんな風に手渡されるのが嬉しいのだろう、感謝やお祝いの気持ちを表すのはどのようにすればいいのだろう、、本当に贈り物をする気持ちでデザインをして行きます。

もうひとつ、そのもの(商品やサービス)を作る人、運ぶ人、売る人など、関わる全ての方たちにとっても喜びを感じられることが大切です。作りやすさや売りやすさなど「経済の仕組みにのせる」という意味に加えて、関わる人が誇りや自信や喜びを感じられるような誠実さが必要です。この誠実さは「自分以外の誰かを喜ばせたい」という思いから出てきますよね。

英語の「The Gift」には物だけではなく、心や才能といった特別な意味が込められているそうですね。
私のデザインが少しでも誰かを喜ばせることが出来たら、それはとてもとても幸せなことなのです。

地球の中2009年03月10日 14:38

鍾乳洞入口
一昨年の夏、岡山県新見市へ出かけました。目的は「鍾乳洞探検」。
観光化されていない鍾乳洞に挑みます。真夏でも鍾乳洞からはひんやりとした冷気が。しばらく進むと外光は全く届かない闇の世界です。懐中電灯に照らされた空間には様々な造形の鍾乳石が広がっています。
私たちは目の前の景色に驚き、さわり、踏み台にし、よじ登って進んで行きました。
全身で鍾乳洞の中に入って行くと、いつの間にか地球の真中にやってきたような気持ちになりました。とても新鮮で他に無い興奮と静けさを感じたひと時でした。

鍾乳洞へは、古民家で宿を営みながら鍾乳洞のガイドをして下さる「千屋アウトドアハウス」のご主人、鈴木さんに案内して頂きました。鈴木さんは鍾乳洞好きが高じてかの地へ移住したそうです。
囲炉裏を囲んで千屋のご馳走を頂きながら、鍾乳洞や旅の話、古民家に住まうまでの経緯など話題もつきません。。なんとも贅沢で楽しい時間を味わいました。またいつか再訪したいです。

千屋アウトドアハウス
http://web.mac.com/chiyaoutdoorhouse/iWeb/Site/12D6062C-A01A-11DA-88C1-0003936930A4.html

花韮(はなにら)2009年03月11日 10:31

花韮(はなにら)
写真は雨の中で光るように咲いていた花韮です。南アフリカ原産だそうですが、野生化した群落があり毎年楽しみにしています。
小さいながら繊細で品のある花が斜面一杯に咲いているのはとても美しい光景です。
ちなみに、手折ると韮の匂いがするのでこの名がついたそうですが、まだ確かめたことはありません。

ここ横浜は、港から様々な外来種が入り野生化していますね。在来種の保存のために活動なさっている方もいらっしゃるそうです。
梅や茶も起源をたどれば中国からの帰化植物ですから、人間の移動に伴って広まるのは自然なことなのかもしれません。

他の動物の移動を利用して生育域を広げて行くのは生物の一つの形なのでしょう。そういえば、美しい花や美味しい蜜、滋養のある実をつけるのは、本来は敵であった昆虫を味方につけるための大きな進化だ、と読んだ事があります。石炭紀から繁栄を続ける植物のしたたかさ、なるほどとひとりごちました。

手仕事2009年03月12日 14:17

中国刺繍 手仕事
中国のシルクといえば蘇州、その地にある刺繍博物館では、観光用に職人さんたちが手芸を披露しています。

写真は2001年12月のものですが、シルク博物館とあわせたツアーは人気でした。上海から足を伸ばして訪れた方もいらっしゃることと思います。

私はここで、わずかな時間ではありますが、将来の名人である沢山の少女達を見ました。仕事の速さ、正確さに感銘を受けました。これは聞いた話ですが、その上達のスピードも速かったように思います。

「iPod」や「±0の加湿器」など、手仕事を工業製品のデザインに活用して成功する製品が増えていますね。手でしか出せない「製品の魅力」は、これからも必要とされるでしょう。

ゲーテの失敗2009年03月13日 21:55

昨日、デジタルハリウッド大学院の南雲治嘉先生に「色の新しい捉え方」についてご講義頂きました。
「色相環」にもとづく色彩理論は古く、色=光の周波数が人間の生理にどのように働き掛けるのか、この科学的根拠を踏まえて戦略的に色彩を使って行こうというお話はとても興味深かかったです。私が経験的に感じていたことや疑問に思っていたことへの回答があり、何度も頷きながら拝聴しました。

さて、タイトルの「ゲーテの失敗」とは、色相環のことです。自然の色は「赤から紫の帯」であるのに対して、「赤紫」を加えて環状に色を捉えたのはゲーテなんだそうです。初めて知りました。
それが何故失敗なのか、、それは人間の生理的反応が色によって異なり、特に赤と紫では正反対です。その両極を繋げたことが過ちであった、これにより混乱が生じてきたのだと。なるほど、と私は思い当たること多かったです。

南雲先生のお話は精力的で笑いがあふれていて「デザインは人に元気を与えて行かねばならない」とのお言葉を、ご自身で愉快に体現されていました。

南雲治嘉先生
http://school.dhw.co.jp/teacher/special/01/
dmc.
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