「フクロウからのプロポーズ」2011年04月19日 21:27

「フクロウからのプロポーズ」
傷ついた野生のメンフクロウの雛を引き取り、ウェズリーと名付けて育て、19年を供に暮らし、最期を看取るまでの物語です。
生物学研究の助手をしていた著者は、はじめは学問的興味から、そしてすぐにその生物としての魅力に引込まれていきます。

たとえば、一度番うと、一生尽くし切り、パートナーが死ぬとじっと木を見つめたまま死ぬことすらある。暗闇の中、数百メーター先の雪に隠れた鼠の鼓動を聞き分けてしとめる。人間と違い聴覚神経が発達した空間認識脳である。などなど、著者とともに知ることになるメンフクロウについての知見は驚くことが沢山あります。

見取った後「師であり、友であり、わが子であり、素敵な遊び相手であり、そしてまた、神に思い至らせてくれる存在だった。」と語っています。
生物学を志した著者の広く深く観察された記述と一個の生への敬意と愛情に満ちた接し方から、メンフクロウと人との関係が、この表現が決して誇張ではないと感じます。

動物を私たちと同じ感情豊かな生命と捉える立場をなんというのでしょう、行動主義的なアプローチではなしえない創造的な関係を築ける、という事実(と捉えるとして)は、改めて人の存在を問うているように思いました。

ステイシー・オブライエン著「フクロウからのプロポーズ」
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/sp/owl/

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