OK glass!「ログイン状態を可視化して」2013年02月21日 23:55

グーグルのHMD「glass」の試験販売が始まりましたね。

こちらは使用感が伝わるムービー、いいですね。

前方不注意による事故等、目前に情報を提示することについて色々と危惧される事がありますが、やっぱり便利になるのは違いないでしょうね。
このムービーでは、今目の前にあることとの必然性が感じられますが、単純なネットサーフィンやコンテンツ視聴が主となるとまた評価かが異なるはずです。その時、どのように受け止められるのかも含めて楽しみです。

また、glassに限らず、デジタルコミュニケーション機器を使用している人は関連情報とそこに繋がるコミュニケーションにリッチになりながら、その周囲の人はその人がどのような状況にあるかは一見して判らず、想像するしかないという状況、、。この状況に私たちはまだ慣れているとは言えません。
その意味でこのglassの良い所は「形がある」というところだと思います。この機器を身につけている人は基本的に「スマートフォンを持ち歩いている人」と同じ状況だと言う事が、他者に伝わるからです。
glassを身につけている人は「写真やムービーを撮っている」「ネットを見ている」「誰かと話している」等を想像する事が出来ます。サイン、とか、シグニフィアの観点ですね。これはデザインにとってとても重要な事だと考えています。
(もっとも、スマートフォン同様に「ログインの向こう側」までは判りませんから、あくまで可能性の範囲なのですが)

私はglassのようなHMDは利用者サービスが良いだけでは不足だと思っています。それは、ネット社会にログインしたまま実社会に混在する事を、利用者以外も充分受け入れる必要に迫られるからです。これを社会的な成功と言うならば、その鍵は「ログイン状態の可視化」にあるのかもしれません。

デザインは「心地よい漏れ」を目指す2013年02月22日 23:27

昨日は「HMDの社会的成功はログイン状態の可視化」である、と少々乱暴にいい切りましたので少し補足を。

生物は現在の状態を隠す事があまり上手ではありません。捕食者も求愛者も、その生き物の状態を察知しています。
群を成す生き物は、例えば犬のしっぽや人間の白目のように、それを秘密にする方が有利な場合でさえ積極的に表す方向に進化したそうです。私たちは周囲の人間のありようを常に察知しながら生きているとも言えるのですね。

そんな私たちの前には、ログインしていてもなお「何をしているか少し漏れる」くらいが丁度良いと思います。
技術は「無漏」を目指しているように見えますが、デザインは「心地よい漏れ」を目指したい、、なんて思っています。

「スマート」は楽しい2013年02月25日 23:40

フィリップスのLED電球「hue」はモバイル端末(iPadやAndroid携帯など)のアプリでコントロール出来る、いわゆる「スマート家電」の電球です。


いやこれ欲しい!と思ったら北米と欧州のみの販売で、日本は未定。残念!
でも既に先行して購入されて日本語でレビューしている方もいらっしゃいました。やっぱり楽しそうです。

ところで、商品開発では長く「便利さ」が求められ、また実際に購入にリンクするのは「便利さ」で、多くの先行製品を「うち(日本のメーカー)ならもっと便利に出来る」と改良製品を出し続け、成功したメーカーは多かったです。
しかしその様なメーカーにとって「スマート」なものはちょっと苦手かも知れません。
それは「スマート」は便利さへの改良ではなく、楽しさの追求だと思うからです。
「スマート家電」がちょっとつまずいているとしたら「便利そう」ではあっても「楽しそう」ではないからではないでしょうかね、、そんな事を改めて思わせてくれる「hue」です。

フィリップスのプレスリリース(日本語)

スタンディングデスク化2013年02月26日 23:37

持病のストレートネックを恐れて、普段から姿勢には気を使っているのですが、作業に集中するとどうしても忘れがちで、ついつい首を前につき出してしまいます。
そんなところに「座って仕事している人は立って仕事をしている人より健康上のリスクが高い」と言う話を伺いました。
これはいい機会だと思い、今月前半に作業場の机を立ち机に改装しました。

改装と言いましても、DIYで60cmx180cmの棚板に35cmの板を3枚立て、既存の机の上に置いたものです。上にはPCモニターが2つ、iPadと携帯とライトと広めのスペース、下にはハードディスク類、ノートPC、ライト、その他雑多なものがあり、仕掛かりの書類も拡げられます。
面積が2倍近くなったので当然ですが、沢山のものが使いやすく収まり、作業が飛躍的にしやすくなりました。
また、はじめから立っているので、脇の工作机との行き来もシームレスで快適です。
姿勢も自然に整うので、肩や首が凝る事は今の所ありません。
いやこれいいですね!

ただ、、もちろん、疲れます。
もっと大変だと覚悟していたからかもしれませんが、一週間ほどで立つ事には慣れました。歩き回る訳ではないので「棒のようになる」こともないです。
しかし驚いたのは太ももが太くなったことです。スーツがきつくなりました。体形変化でお腹以外にきつくなる所があるなんて想定外でした。

もっとも、これらは年単位で体感しないと判らない事が沢山ありそうですね、またレポートします。

会話と作業2013年02月27日 15:49

はじめて上海のマッサージに連れて行ってもらった所は、いい匂いがしてとても静かで、施術するマッサージ士の女性も押し黙っていました。
聞くと、おしゃべりが始まると止まらなくなり、リラックスした気分を壊すので高級店では禁止なのだそうです。
確かにその後、自前で行った安い所は轟々と会話の声が絶えませんでした。(そう言うのが好きな方にはそれも面白いです)

単純作業の間の楽しみがおしゃべり、と言うのはよくある事だったと思いますが、日本ではすっかり見かけなくなった気がします。どの地でも勤勉さを求められるに従って、淘汰の方向なのかもしれません。
要するに、おしゃべりをしていると手が止まるよ、という話ですね。

一方で、デジタル機器は全て会話の道具(コミュニケーションツール)として進化してきました。これからも僅かなすき間にどんどん入って来るでしょう。つまり、起きている間、もしかしたら寝ている時でさえ「会話」が割り込んでくるようになるでしょう。

これ、何かに集中したい状況だと辛いですよね。結構な大人でも電話が鳴ったりチャイムが鳴ったら集中が途切れてしまいます。昔の「山ごもり」みたいですが、何かに打ち込みたい時は意図的に会話=デジタルツールからの距離を取る、というのもありなのでしょう。
dmc.
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